マニプリ別注 後染めスカーフ(65×65cm)各¥18000/mi-mollet STORE

ヴィンテージスカーフから着想を得たスカーフやストールを展開する日本発のブランド『manipuri(マニプリ)』。日本のスカーフ文化をけん引する同ブランドに、ミモレストアでしか手に入らないオリジナルの後染めスカーフを作成していただきました。今回は、この特別なスカーフの製作背景について、バイイングディレクターの福田麻琴さんとマニプリのブランドマネージャー・鮫島さんが対談した様子をお届けします。

エレガントなスカーフのイメージを覆す、
着こなしに“なじむ”スカーフ

「ブルー・ジーン」と呼ばれる深い青で後染めした今回販売のスカーフ。
福田さんとマニプリブランドマネージャーの鮫島さん。


“ディップ・ダイ”と呼ばれる後染めスカーフを元々愛用していた福田さん。今回のマニプリとの別注スカーフもその愛用のスカーフが念頭にあったそう。

福田さん「以前から藍染めや泥染めされたスカーフを使っていて、それがとっても柔らかくて使いやすくて。すごく使いやすいので、インスタライブなどでもよく着けてたんですが『どこのですか?』と聞かれることも多いんです。でもどこにも売っていないので、ならばミモレストアで後染めスカーフを作ろう! と思っていました」

鮫島さん「サイトには載っていないのですが、以前に別注で後染めのストールやスカーフを作ったことがあって、実はマニプリでも後染めをやってるんですよ、と言う話を福田さんにしたのがきっかけでしたね」

福田さん「そうでしたね! 一般的なスカーフってちょっとコンサバ感の強いイメージもあって。巻き方によっては存在感が出すぎたり、マダムっぽく見えたり、ちょっと難しいと感じている方も多いのでは。私自身もまだマダムになりきれていない年齢だし、シックでカジュアルに楽しめるスカーフにしたかったんです。
色がきれいだったり、柄が派手だったり、コーディネートのポイントとして使うスカーフももちろん素敵ですが、“スカーフをなじませて使う”というのもコーディネートのひとつのアイデアだなと思って。後染めスカーフは、いい意味で華やかさが落ち着くので、カジュアルな装いや、ミニマルな今っぽい着こなしにもマッチします。華やかなスカーフが苦手な方、スカーフ初心者さんでも手に取りやすいと思います」

鮫島さん「素材は、12匁(もんめ)の綾織シルク100%。ほどよい厚みもありつつ、元々柔らかいのですが、後染めすることでさらに柔らかくしっとりとした風合いになるんです。
販売されている柄は常時200〜300種類、それぞれに色展開があるので、バリエーションはかなり豊富です。スカーフ専門のデザイナーさんがいて、年間で約30の新柄を発表しています。人気の柄はずっと継続して作られていますし、どの柄も古くなることがないのもマニプリのスカーフの魅力です」

デニムのような深いブルーの染料で、
奥行きのあるネイビーに

左が染める前、右が染めた後のスカーフ。ネイビーの濃淡が単色でもこなれた雰囲気に見せてくれます。
「後染めって面白い! 一気に染めてもそれぞれに柄の出方が違ったり、この色がこういう風に浮き上がるんだ、というのが分かって新発見の連続でした。単色で色幅が少なくなると、“なじむ”表情に変わるんだなって思いました」(福田さん)


今回、数ある色の中で「ブルー・ジーン」と呼ばれるブルー系の色を選んだ福田さん。その理由はなんだったのでしょうか。

福田さん「今の女性の服に何色がなじむのかなと考えたときに、まずネイビーが浮かびました。黒よりも柔らかく上品で、男女問わず嫌いな人が少ない色。デニムや紺ブレに合わせるのはもちろん、黒やグレー、ブラウンにも合わせやすいので、仕事にも休日にもオールマイティに使えます」

1枚1枚、丁寧に作られるスカーフは
熟練の技が結集した工芸品のような逸品!

マニプリのスカーフはすべての工程がメイドインジャパン、さらにほとんどの工程がデザイナーや職人たちの手作業によるもの。染めの工程も、熟練の職人さんが1版ずつ手作業で丁寧に染め上げる手捺染(ハンドプリント)で作られています。時間と手間がかかるだけでなく、職人さんの勘所をとても必要とする染色方法で、扱う生地や季節によっても色の出方が変わるそう。

鮫島さん「今はデジタルプリントが主流になっていて、手捺染が出来る職人さんも少なくなっています。国内の工場でこだわって作ることで、職人さん達の伝統の技を守っていきたい、という想いもあります」

テクニック要らずで巻きやすい、
こだわりの「65×65cm」サイズ

“65×65cm”という絶妙なサイズは、マニプリのスカーフのベストサイズなのだそう。
鮫島さん「45×45cmだと小さすぎるし、約90cm四方の大判スカーフも人気ですが、巻くのにテクニックが必要。65×65cmだと小さすぎず、どこにでも簡単に巻けるんです」

裾の始末も1針1針手作業で。“フランス巻き”とも言われる「手巻き」は、熟練の職人にしかできない伝統技。スカーフの端を裏から表の方向にくるりと丸めながら、1針1針かがっていきます。ふっくらとした立体的な仕上がりは、ミシンでは出せない風合い。マニプリさんの価格で手巻きを採用しているブランドはほとんどないそうで、細部にまでこだわりを感じます。


スカーフ好きも初心者さんも、楽しみ方いろいろ!

トップスの首元に入れてアスコットタイ風にも。
腕に巻いてブレスレットのような楽しみ方も。

福田さん「柔らかくて扱いやすいので、首、腕、髪やバッグなど、どこにでも巻きやすい! 着こなしになじみつつ、存在感のあるアクセサリー代わりとして色んな使い方ができます。また買ったその日から5年愛用しているような、使い込んだ雰囲気が出せるのも後染めスカーフの魅力。コーディネートに1つ加わるとこなれた感じに見せてくれます」

気になるそのお手入れ方法についても鮫島さんに伺いました。

鮫島さん「シルクスカーフは、着物のように、手入れをすれば長く使えるアイテム。汗をかいたときは陰干ししたり、虫食いや退色に気を付けてもらえれば、ずっと使っていただけます。また、後染めは少しずつ色が褪せていくので、デニムのように経年変化を楽しめるのも魅力。大切に使っていけば、次世代に引き継いでいける逸品です」

マニプリの素敵なスカーフを深いブルーに染めるというアイデアが加わった、ミモレストアだけのスペシャルな後染めスカーフ。スカーフ好きにも初心者さんにも、まとう楽しさを味わってほしい一枚です。

撮影/坂本美穂子
文/出原杏子
構成/朏亜希子(編集部)