先日、静岡県裾野市の保育園で、当時働いていた保育士3人が園児に虐待行為を繰り返していたことが発覚、逮捕されるという事件がありました。その犯行の凄惨さに世間は震撼しました。1人どころか3人もの保育士が暴力行為を行い、さらに園長が隠ぺい行為に走るなど、事件の異質さは枚挙にいとまがありません。

 

一方で、こういった保育士、および教師などによる暴力行為は、今ニュースになっているのは氷山の一角だとも思います。

そしてそのニュースを聞き、私も冷たく、重い記憶の扉が開きました。

 

当時はわからなかった、20年前の虐待


実は私、中学生の時に不登校だったのですが、小学生の時も1週間ほどの不登校、さらに保育園の時も登園拒否をしたことがあります。中学生の時は同級生からのいじめが原因でしたが、小学生、保育園の時は教師と保育士が原因でした。

保育園は基本的に楽しい思い出ばかりです。優しい先生たちばかりでした。しかし、ある1人の保育士が、ヒステリックに園児を怒鳴り散らすタイプの人でした。その保育士が怒鳴り出すと、園児はいつも怯えていました。

もう20年以上経ったのに、まだ忘れられない出来事があります。
何の時間だったかは思い出せないのですが、“態度が悪い”という理由でその保育士が怒鳴りだし、園児数人がトイレに逃げ込んだのです。保育園のトイレは上から大人が簡単にのぞき込めるように、とても壁が低く作られています。

私はトイレをしていたのですが、追いかけてきた保育士に個室の壁の上から首を“ガッ”と掴まれ、強く揺さぶられ、私は大泣きしました。トイレの最中にいきなり首を掴まれ揺さぶられたのですから、おしっこが床にこぼれました。すると「汚い! なんでこぼすの!」と怒鳴られ、雑巾を渡され、拭き掃除をさせられました。

 

この出来事は親には言えませんでした。まだ未就学児。自分がされていることが「どんなこと」なのか、わかるわけもありません。その保育士は、理由を作って当たり散らしてきましたが、それはあくまで「指導」という建て前。それを園児がおかしいと思えるはずもないのです。

今振り返ると、あれは明らかに「虐待だった」とはっきりわかります。

大学生になり帰省した際、母とお墓参りのためお寺に行った時、たまたまその保育士と再会したことがあります。その保育士は、「あらぁ、大きくなったね。元気?」と笑顔で言ってきました。自分のしたことを忘れているのか、それとも、そもそも何をしたのか本当にわかっていないのか。それを知る術はありませんが、私は大人になっても、あの恐怖が忘れられずにいます。