「激落ちくん」で隅々まで。高座が増えても家事は「気付いたほうがやる」
巧みな会話でインタビュースペースはずっと笑いの渦。こんな人が身近にいたらさぞかし家の中も楽しいだろうと想像が膨らみます。実際、一之輔さんは、3人のお子さんを持つ、子煩悩な父親の顔も持っています。
――一之輔さんのエッセイにはお子さんを始めとするご家族がたくさん登場します。先日出版された『いちのすけのまくら』の文庫本では、解説をご長男が書かれたそう。二ツ目になられてすぐの頃は仕事がなく、ベビーカーを押しながら育児をされていたと聞きましたが、現在も子育てや家事には積極的に参加されていますか?
春風亭一之輔さん(以下、一之輔):今もバリバリやっていますよ。今日も洗濯全部やってきましたから。掃除機もかけて……。子どもは学校ですし、かみさんも働きに行きますからね。午前中は僕がいるから洗濯をして、干して、畳んで、全員の分をタンスにしまって……。
ただ、わからないんですよ~。長男と次男の靴下、どっちがどっちのなんだか。もう名前を書くような年齢じゃないですからね……。本当に分かんない。あとは、どうかすると、かみさんのジーパンを次男のところに入れちゃったりする。かみさんが血相変えて「私のジーパンがどこにもない」って言いだして、探すと次男のタンスから出てくる。
食洗機でお皿も洗いますし、掃除もしますよ……。大掃除は「激落ちくん」で隅々まで磨きましたから! そうそう。年末、「激落ちくん」がどこにもなくてね。探して探して。そしたら仕事で出かけた渋谷の東急ハンズに「激落ちくん」があったんですよ……。それも、あの渋谷の奥の方にあるハンズじゃなくて、駅のスクランブルスクエアでしたっけ? あのオシャレなほうのハンズでやっと見つけて……、腹立つ〜(笑)。そこに売ってた「激落ちくん」、全部買い占めてやりましたよ(笑) ! まあ、家事はやらないとウチの中が回らないというのもあって、やるんですけど。
――「激落ちくん」を探して歩く一之輔さんの姿が目に浮かぶようです。何か奥様との間で家事に関する“取り決め”のようなものがあるのでしょうか?
一之輔:ないです。気づいたほうがやる、にしておかないとケンカになるんで(笑)。できないときもあるじゃないですか、やっぱり。「今日はできねぇんだよ」ってなったらすり合わせをするのが面倒なので。「手が空いている方がやる」ということにしないとね。
これは最初っからふたりで決めたことなんですよ。そもそも最初は僕の方がヒマで、家にいる時間は僕のほうが遥かに多かったんです。だから、僕がご飯を作っていた頃もありますしね。
――とはおっしゃるものの、今では年間900以上という高座に出演されています。それでも、“時間があるときはやる”んですね。
一之輔:年間900席喋っていても、家にいるときは稽古なんてしないですし。だいたい「900席って言ったって、喋るのは15分だろ」と言われればそうだなと。高座の時間なんて微々たるものですからね。まあ、家事しながら、常に何か考えたりしてます。ラジオを聴きながら家事をしたりとかね。このエッセイの原稿のネタを考えながら家事をしていることもありますよ。手の届くところにノートを置いておいて、家事の合間にメモしたりとか……。家ではずっと何かしらやってます。
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