前頭側頭型認知症とは、どんな症状? アルツハイマー型認知症との違いは?


山田:認知機能の障害があるものの、日常生活に支障がない場合は、「軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)」と呼び、分類をしています。

編集:なるほど! 認知症の定義をきちんと知ることで、むやみに不安になることが減りそうです。

山田:「認知症とはなにか」を理解したら、次は「何が原因で起こっているか」を考えるステップが大切です。最も多いのは、アルツハイマー型認知症ですね。

編集:認知症といえば、アルツハイマー型認知症が思い浮かびます。

山田:その他にも、「レビー小体型認知症」や、今回話題になった「前頭側頭型認知症」、脳の血管の問題で起こる「脳血管性認知症」などがあります。また、治療可能な認知症として、「甲状腺機能認低下症」や、「ビタミンB12欠乏症」による認知症などが知られています。治療をすれば治る認知症もありますので、原因を丁寧に追求するというのは、大切なアプローチです。

編集:「前頭側頭型認知症」は、どのような認知症なのでしょうか?

山田:では、「アルツハイマー型認知症」と比較しながら、説明していきますね。「アルツハイマー型認知症」の場合、特徴的な症状は、記憶力の低下です。記憶には、言われたことをすぐに思い出す「即時記憶」と、数分後に思い出す「近時記憶」、昔のことを思い出す「長期記憶」がありますが、アルツハイマー型認知症の場合には、近時記憶が失われやすくなります。また、「○月○日にどこで何をした」というエピソードを思い出すのも難しくなる、と言われています。

一方で、昔の記憶はよく覚えていたり、車の運転や絵を描く、といったことは普通にできることもあるのです。

編集:「認知症」に対して、私が持っているイメージ通りの症状でした。

山田:一方、「前頭側頭型認知症」は、前頭葉や側頭葉が委縮して起こる認知症です。前頭葉は、主に脳みそのブレーキとして働いているのですが、ここが働かなくなると、ブレーキが効かず、アクセルばかり踏んでしまう、という状態になります。たとえば、性的な問題行動や人格の変化、突然甘いもの、もしくは炭水化物ばかりを食べだす、お酒を大量に飲みだす、など行動の変化がみられます。