MCIは認知症をストップできる最後の砦
MCIは、認知症を完全に発症する前段階の「認知症予備軍」のこと。「軽度認知障害」ともいい、もの忘れの症状は出るものの、認知症には至っていない認知症と正常の中間の状態を指します。MCIの時期は、記憶障害など一部の認知機能に低下が認められますが、食事や入浴、着替えなどの日常生活はほぼ問題なくこなすことができ、健常と認知症の間にいるような状態です。
しかしそのまま認知機能の低下が続けば、約5年でその半数以上が認知症に移行する可能性があり、この時期に適切な対応を取ることが非常に重要になってきます。
年間16~41%がMCIから健常レベルにカムバック
アルツハイマー型認知症は治らないと言われますが、その前段階であるMCIであれば、生活習慣の改善や医師のアドバイスを受けながら認知症の発症を防いだり、遅らせたりすることが可能です。年間16~41%がMCIから健常レベルに戻ると言われており、早期対応が鍵となるのです。
厚生労働省は、10年前の2012年時点で認知症は約462万人(現在は600〜700万人)、認知症予備軍であるMCIの人は約400万人いると推計しました。世の中的には認知症が着目されがちですが、MCIは認知症の人と同数程度かそれ以上、65歳の高齢者の約2割とも言われており、認知症をストップできる最後の砦、MCIこそ気にしなければならないのです。
MCIの検査、その内容と費用目安
MCIは、もの忘れ外来の診察や脳のMRI検査でわかる場合もありますが、それより敷居が低いのが、相談者の薫さんがテレビで観たとおっしゃっていた血液検査です。筑波大学発のベンチャー企業MCBIが提供する「MCIスクリーニング検査プラス」は、MCIのリスクを測る血液検査で、5mlの血液を採取して判定します。
全国2000ヶ所以上の医療機関で検査を受けられ、費用は2、3万円ほど。健康保険適用外なので、全額自己負担となります。決して安い金額ではありませんが、少しでも気になるという方は、すぐにでも検査を受けてみてください。採血後、2~3週間で結果が出て、MCIリスクが4段階で表示されます。検査を実施している医療機関は、こちらで検索できます。
認知症は、発症の20~30年前からの生活習慣が大きく影響するため、40代以降の方の検査をオススメしています。なお、すでに認知症と診断されている方は対象外となっています。
早期発見のためのチェックリスト
検査を受けるほどではないけれど、「あれ、なんか変だな?」と思う方は、下のチェックリストに目を通してみてください。「最近少し変わってきた」「昨年と比べて様子が違う」という違和感や小さな兆候が、進行しているかどうかのポイントになります。いくつ当てはまるかではなく、以前と比べてどれだけできなくなったのかを基準に判断してみてください。
将来認知症になってしまうかも……というリスクが心配な方は、ぜひこちらの認知症予防チェックリストもご覧になってください。
認知症やMCIに対応した生命保険も
認知症は今後も増加すると言われており、認知症やMCIに特化した生命保険の商品も出ています。下記はその一例です。
認知症に特化した保険は比較的掛け金が安価という傾向がありますが、そもそも介護が必要になる原因は認知症だけではありません。たとえばアフラックからは「しっかり頼れる介護保険」が販売されています。他社からもいくつか商品が出ているので、見てみてはいかがでしょうか。
検討する際のポイントは、「どの程度の要介護度から給付金が出るのか」です。個人的には、要介護3から給付される契約はオススメしません。できれば要介護1から出るものなど、低い介護度からでも受け取り可能かどうか、必ず確認してみてください。
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子
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