感情に出すことも発散のひとつ。そうして前に進んでいく
――シルビアさんご自身が大きな悲しみに出会ってしまったとき、それを乗り越える方法はお持ちですか?
シルビア:難しいですよね。ナットのセリフにも「たまに(悲しみの)存在は消えるし、それがまた蘇ったりする」というセリフがありますが、いくら年月が経っても蘇ってくることがあります。乗り越えていたと思っていたのに、ふと思い出したら号泣することもありますし……。
たとえ泣いたとしても、ちゃんと忘れずに思い出してあげることが大切だと思っています。感情に出すことも発散のひとつなので、できるだけ我慢せず、笑いたいときは笑って、泣きたいときは泣いて……。でも笑うのが多いほうがいいですね。そのほうが乗り越えて、前に進めそうです。
最後にミモレ読者へ『ラビット・ホール』の見どころを教えていただきました!
シルビア:最初の幕開けは普通の家族の他愛もない会話が面白おかしく綴られています。そして、オーバーになりすぎないところでそれぞれのキャラクターの苦悩も上手く表現されています。これを観てくださった皆さん全員が何かしらのポイントで共感できる役があると思いますし、最後には希望の光を感じて帰路につける、そんな作品です。重いだけのテーマではなく、ちゃんとコメディにもなっているというところもすごくいいなぁと、私自身は思っています。
押し付けがましくなく、キュンとするハッピーな作品って言ったらいいかな。見終わったあとに“希望”が見つかると思うので、ぜひ劇場に足を運んでください。あと、これだけ役者陣が自分のセリフを考えた上で上演することも、なかなかありません。私たちの血と汗と涙の結晶を観てくださったら、嬉しいです。
『ラビット・ホール』
4月9日(日)~25日(火) PARCO劇場
作:デヴィッド・リンゼイ=アベアー
翻訳:小田島創志
演出:藤田俊太郎
出演:宮澤エマ 成河 土井ケイト 阿部顕嵐(Wキャスト) 山﨑光(Wキャスト) シルビア・グラブ
4月28日(金) あきた芸術劇場ミルハス 中ホール
5月4日(木) キャナルシティ劇場
5月13日(土)~14日(日) 森ノ宮ピロティホール
撮影/shitomichi
ヘア&メイク/タナベコウタ
取材・文/前田美保
構成/坂口彩
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