更年期を迎えると「何でもない時に急に涙が出る」「家事や仕事などのやる気がでない」「理由もなく気分が落ち込んでしまう」など、更年期うつに陥ってしまう女性もいます。体調不良だけでなく、メンタルの不調など日常生活に支障が出る状態である更年期障害を経験する人は、全体の3割だと言われています。

 

なぜ更年期うつが起こるのか。婦人科医の高尾美穂先生はこう言います。

「卵巣機能が低下し、閉経によって女性ホルモンが減少することで自律神経の調整が上手くいかなくなり、リラックスしづらくなります。緊張状態が続くことで充分な睡眠が取れなくなり、メンタルの不調に陥るという負のサイクルが考えられます。

ただ、これは理論上の話です。更年期の不調はホルモンによって引き起こされるものだけでなく、更年期の世代が抱えているさまざまな環境要因がメンタルの不調を引き起こすことに繋がっていると考えられています」

 

子どもがいる女性にとっては、自身の更年期がちょうど子どもの思春期と重なるという人も多いでしょう。子どもとのコミュニケーションに悩んだり、受験などの問題を抱えたりするケースもあります。そして、仕事では管理職などの責任あるポストに就く年代であり、同じく仕事で重責を抱えるパートナーとの関係性の不安、さらには親の介護なども重なってくる方もいるのかもしれません。

そんな複雑な人間関係にある更年期という時期にメンタルを守るためにどう対応していけばいいのか、高尾先生にお話を伺いました。