この夏、各地で開催される花火大会の話題の中で「おやっ」と思うものがありました。『汝、星のごとく』で2度目の本屋大賞を受賞した凪良ゆうさんが、全国の本屋を舞台に“花火大会”を企画したというのです。
なぜ、書店で「花火大会」なのでしょうか?
20年間積み上げられた書店員の思い
凪良ゆうさんが最初に「本屋大賞」を受賞したのは2020年。『流浪の月』での受賞でした。3年前、本屋大賞の発表当日に最初の緊急事態宣言が発令され、贈賞式は中止になりました。翌日から休業に入る書店もたくさんありました。
凪良さんは大賞を受賞しながらも、書店員の方々に直接お礼を伝えることができなかったことがつらかったといいます。
「応援してくださった書店員さんに直接お礼が言えなかったことと、ともに同じ場所で喜びをわかちあえなかったことが、この3年間ずっと悔いになって残っていました。」
本と読者を最も知る立場にいる書店員が、自分たちの売りたい本を世の中に知らせていく。そんな思いでスタートした本屋大賞。通常、本や作家に贈られる賞は、作家や評論家が選考委員であることが多いが、本屋大賞は書店員の投票だけで選ばれる賞です。
全国の書店員の、本の持つ魅力を多くの方に知ってもらいたいという熱意を原動力に本屋大賞は今年20回目を迎えました。今では「出版業界において最も影響力のある賞」とも言われるほどのものに。
凪良さんは、本屋大賞受賞のスピーチでこう語りました。
「最初、わずか数人からスタートした賞が、全国の書店員さんの本を愛する気持ちと書店に足を運んでほしいという熱意だけを原動力に、20年かけていま本を読まれている人々に一番求められる大きな賞になりました。その道のりを思うと、「出版不況」、「小説が売れない」と言われる時代の作家の一人として、感謝と尊敬の念でいっぱいになります。20年間、本当に続けてくださってありがとうございます。そしてこれからも小説をよろしくお願いします。」
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