「こうしてほしい」ではなく、「こうしてもらうと嬉しい」と伝えよう

「Iメッセージ」で伝えれば交渉はうまくいく! 気弱さん・口下手さんのための「お願い」の伝え方_img0
写真:Shutterstock

前項で「Iメッセージ」のお話をしました。やはり、自分に対して攻撃の刃が向いているような言い回しをされると辛いものです。そしてIメッセージは、それを緩和してくれる話し方です。

また、相手から「こうしてもらいたい」とお願いをされるときも一緒で、攻撃的に言われると反発したくなりますよね。

もし、あなたとしては心の中で「やってあげたい」と思っていたとしても、「何でこうしてくれないの!」とか、「これやっといて」などのように相手からクレームや命令のように言われると、一気にその気持ちはトーンダウンしてしまいますよね。

一方で、人はお願いされたり頼りにされたりするのが大好きです。人からの依頼に応じて協力してあげて、その依頼主から感謝されると自分の自尊心が満たされるじゃないですか。そうするとお互いにハッピーになれるわけです。

ですから、人にお願いをするときは、こうしてくれると「嬉しい」とか「安心する」などの自分が抱くであろう感情を交えるとよいのです。これもIメッセージの一種と言えます。

 

「残念な例」と「良い例」

「Iメッセージ」で伝えれば交渉はうまくいく! 気弱さん・口下手さんのための「お願い」の伝え方_img1
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ここでは大まかに、お願いをするとき、事前に注意喚起をするときの2ケースに絞って「残念な例」と「良い例」を紹介していきたいと思います。

〈お願いをするとき〉
*交渉相手のFさんに書面提出期限の提案をするとき
~残念な例~
「Fさんからの書面ですが、今回は3月10日までに出してください。前回みたいに遅れるのはダメですからね」
~良い例~
「Fさんからの書面ですが1週間前に届いてくれたら、僕としてもしっかりと回答の準備に取りかかれると思うんです。ですから、今回は3月10日までに書面をいただけると非常に嬉しいです」

〈事前に注意を喚起するとき〉
*部下・後輩に対する事前の注意喚起
~残念な例~
「(クライアントの)Kさんのところに行くときは、万全の準備をしていけよ。絶対にAさんみたいに怒られるなよ」
~良い例~
「(クライアントの)Kさんだけど、あの方は結構細かいところがあって自分の気にしているところが1つでも満たされないと機嫌を損ねてしまうところがあるんだ。このあいだもそれで雰囲気が悪くなって前任のAさんもかわいそうだった。そうならないように、できる限りの準備をしておくといいと思うよ」


このように、単純に指示やお願いをするのではなく、「事実→影響→感情」を伝えるIメッセージを用いることで、相手もこちらのメッセージを素直に受け取れるようになり、結果としてこちらの要望がかなえられやすくなるというわけです。