筆者は仕事柄、よくタクシーを利用するのですが、先日も東京都内、しかも東京駅に近い極めて交通量の多い地域でタクシーに乗りました。走り始めてしばらくすると信号のある交差点に差し掛かったのですが、筆者が乗る車両の前方、交差点の手前1メートルくらいのところで、左折のウインカーを出しながら停止しているタクシーがありました。

私が乗ったタクシーもその交差点で左折予定だったことから、運転手は、前のタクシーも当然のことながら左折待ちだと考え、タクシーの後ろで停止しました。ところが前のタクシーは、信号が青で、横断歩道には人がいないにもかかわらず、一向に動く気配がありません。

私が乗ったタクシーの運転手は仕方なく、一旦バックし、前のタクシーを追い越して交差点を左に曲がったのですが、その時、驚くべき光景が目に入ってきました。前に止まっていたタクシーの女性運転手は何と、タクシーの社内で必死にモノを探している様子でした。おそらくですが、モノを探すことに夢中になり、交差点の手間1メートルでウィンカーを出しながら停止していることや、後続に次々と車が来ていることにはまったく気づいていない様子でした。

同じ月には、やはり交通量の多い都心の、しかも信号のない路上で(道路に飛び出す歩行者などが皆無である状況で)いきなり停止する車を見かけました。ドライバーは何かを凝視している様子で、後続車両のことなどは目に入っていないように見受けられました。

高齢ドライバーの事故が相次ぐも、危ないのは高齢者だけとは限らない? 交通量の多い都心で遭遇した「前にいてゾッとした」運転者は..._img0
写真:Shutterstock

私も免許を持っていますが、どちらも自分ではまったく想像できない行動パターンであり、一歩間違えば大事故を誘発する動きといえます。1か月の間に2回もこうした光景に出くわすということは、きわめて稀な事例ではないと考えざるを得ません。どちらのドライバーも、見た感じの年齢は20代〜30代であり、しかも片方はタクシーというプロの運転手ですから、高齢者だけが危険な運転をしているわけではないという統計の結果を裏付けているようにも思えます。

 

これまでの時代は、運転が危なっかしい人はクルマに乗らないよう周囲が止めるといった、ムラ社会的な抑止効果があったかもしれません。しかし、現代社会にこうした機能はありませんし、そもそも、こうした曖昧な抑止力に頼るべきでもないでしょう。免許返納は難しい問題であり、本当のところどのような人が危険な運転をするのか、運転技能に関する科学的な検証が必要ではないかと思います。