東京都知事選挙が2024年6月20日に告示され、7月7日に投票が行われます。今回は50人以上が立候補するなど、少々、乱立気味という印象が拭えません。選挙の結果はフタを開けてみるまでは分かりませんが、現時点においては現職の小池百合子氏と、参議院議員の蓮舫氏による争いとなる可能性が高いでしょう。

東京都知事選はなぜ“国政の延長”になってしまうのか? 過去50年の歴史から見えてくる「巨大都市ならではの要因」とは_img0
写真:つのだよしお/アフロ
東京都知事選はなぜ“国政の延長”になってしまうのか? 過去50年の歴史から見えてくる「巨大都市ならではの要因」とは_img1
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小池氏は2期8年にわたる都政運営の実績を強調して選挙戦に臨む一方、蓮舫氏は反自民を強く打ち出し、都知事選を国政の延長線上に位置付けました。一部からは国政の問題を都政に持ち込む蓮舫氏の手法について批判の声が上がっていますが、これまでの都知事選の歴史を振り返ると、小池氏が勝利した前回の選挙はもちろんのこと、常に国政そのものだったと言えます。

筆者自身は30年以上、東京に住んでいるので、地域の有権者としていろいろと議論してほしいテーマがあるのも事実ですが、一方で、東京が日本の首都である以上、国政との関係なしには都知事について語れないのもその通りでしょう。
 

 


よく知られているように、現職の小池氏は国会議員出身であり、環境大臣や防衛大臣などを歴任した人物です。小池氏は日本初の女性総理を目指しているといわれており、自民党政治に対する強烈なアンチテーゼを掲げて都知事選に名乗りを上げました。実際、知事になってからも小池氏は、住宅における太陽光パネル設置の義務化を実施したり(※)、独自のコロナ対策を打ち出すなど、常に政府・与党との対立を演出してきました。多くの都民はこうした小池氏の政治的な手法も含めた上で支持したわけですから、前回の選挙も、やはり国政の延長線上にあったと見なすことができるでしょう。
※建築物環境報告書制度、2025年4月より施行。2024年6月開催の説明会で配布された資料


小池氏のこうした政治手法は、石原慎太郎元都知事によく似ているともいわれます。

石原氏はもともと作家でしたが衆院議員となり、自民党内で一定の地位まで上り詰めたものの、国政での限界を感じて都知事選に出馬。1999年以降、4期にわたって都知事を務めました。

出馬当時の石原氏のキャッチフレーズは「東京から日本を変える」であり、やはり国政に対する強烈なノーが公約だったと言えるでしょう。石原氏の後を継ぎ副知事から都知事に転じた猪瀬直樹氏も同じですし、さらに言えば、その後、都知事になった舛添要一氏も似たような流れで都知事になりました。

 
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