モデルとして、テレビ出演やラジオパーソナリティとしても活躍中の浜島直子さん、愛称“はまじ”。彼女がファッション、ビューティ、ライフスタイル、さまざまなジャンルで新しい自分を発見していく連載です。

蝶の粉』『けだま』という2冊の随筆集も発表し、読書も大好きなモデルはまじ。前回に続き、〔ミモレ編集室〕の読書部メンバーと一緒に読書会を開催。課題作品の小川洋子さん『最果てアーケード』について語り合います。


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それぞれの方法で世界とのバランスを取る登場人物たち。モデルはまじが中でも印象に残ったセリフとは…

小川洋子『最果てアーケード』読むたびに見える世界が変わるからこそ何度も読みたい【はまじ✕〔ミモレ編集室〕読書会】_img0
課題図書は、はまじが好きな作家・小川洋子さんの『最果てアーケード』。使用済みの絵葉書、義眼、徽章、発条、玩具の楽器、人形専用の帽子、ドアノブ、化石……。「一体こんなもの、誰が買うの?」という品を扱う店ばかりが集まっている、世界で一番小さなアーケード。それを必要としているのが、たとえたった一人だとしても、その一人がたどり着くまで辛抱強く待ち続ける――。(『最果てアーケード』内容紹介より)


今回の読書会に参加した〔ミモレ編集室メンバー〕はこの7人!

Shoko:〔ミモレ編集室〕以外でも読書会に参加することもあるほどの読書好き。

ayumin:読書だけでなく、観劇やアートや映画鑑賞などカルチャー全般が好き。はまじがデビュー当時からのファン。

Sumi:ミモレではイラストレーターとしても活躍。アートに造詣が深く、本も感想も映像を想起させるものが多い。

shoko:はまじと同じ北海道出身。読書は基本的にKindleだが、紙で手元に置いておきたいと思った本は、Kindleと紙のダブルで所有する派。

Hiroe:仕事はほどほどに大好きな「読書」と「クラシックバレエ」楽しむのが人生のモットー。

Emi:1人が好き、人といるのも好き、旅が好きなスナフキンタイプ。お風呂で本を読む時間が至福のとき。

とこママ:読書もファッションもお酒も同じように愛し、イベントなどには積極的に参加するアクティブ派。


―――――はまじさんが『最果てアーケード』の中で印象に残っているのはどんなところですか?

はまじ:読んでいて、好きだなあと思ったセリフがあるんです。ちょっと引用しますね。

「こんなふうに大々的に、誰かが称賛されているところに立ち会えるなんて、それだけで特別じゃないか。たとえその誰かが見知らぬ人であろうと、自分が称賛される側になることは一生ないと分かってはいても、拍手を送っているだけで幸運に恵まれたような気持ちになる」

「勲章店の未亡人」という一篇に出てくる、店のご主人の言葉です。これが、このご主人の世界とのバランスの取り方なんだろうな、とっても素敵だなって思ったんです。

Shoko:私もこのご主人の心意気がすごく素敵だなって思いました。表彰式ってわりと身近で、子どもの頃から何度となく体験しているじゃないですか? でも、このご主人のようにこんなに素晴らしい気持ちで向き合ったことはなかったなって。

Hiroe:確かに、最近もパリオリンピックで表彰式たくさん見たけれど、こんなふうには見てなかったなあ(笑)。

とこママ:本当にそうだよね。たとえば表彰式の前の競技を見て幸せな気持ちになることはあるし、その過程があって応援していた選手がいるなら表彰式を見て感動することはあるかもしれないけれど、表彰式そのもの、称賛されているところに、ここまでの気持ちってなかなかないよね。でも、はまじさんがいうように、すごく素敵なバランスよね。

Emi:きっとご主人は自分で幸せになる方法をわかってるってことですよね。

はまじ: そのあとにご主人が亡くなってからの奥さんの言葉も印象に残っていて。「勲章はもう買い取りしてませんよ」って言いながらも、結局は買い取ることになるんです。それで「毎回ね、ぐったりしちゃうのよ。疲れちゃうのよ」というセリフがあって、その気持ちもわかる気がしたんです。モノだけじゃなく、誰かの思いも込められているから、ぐったりしちゃうんだなって。そういうことってありますよね。皆さんはどんなところが印象に残りました?

ayumin:私は「百科事典少女」に出てくるRちゃんのお父さんかなあ。Rちゃんが亡くなったあと、そっと現れて、何も言わずに彼女が読んでいた百科事典を淡々と何年もかけて書き写しているのがぐっと来ました。

はまじ:Rちゃんのお父さん! わかるなあ、いいよね。

Sumi:私はRちゃんも気になりました。想像では、Rちゃんは巻き毛の外国人なんですよ。こまっしゃくれていて『キャンディ♡キャンディ』に出てくるいじめっ子みたいな感じかな。

はまじ:(笑)。アーケードのイメージといい、すごく細かく想像されてますよね。Sumiさんの頭の中の『最果てアーケード』の映像、見てみたいなあ。

Sumi:私、『最果てアーケード』は舞台っぽいなとも感じたんです。

とこママ:わかる気がする。舞台にそれぞれのお店が並んでいて、順にスポットライトが当たって物語が進んでいく感じするよね。

 
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