実際、私がこれまで住んだ家だけでなく、遊びに行ったお家の多くも、収納はあまりなかった。ある知人のアパルトマンは、40平米ぐらいはあるのにワンルームで、収納はリビングの小さな棚と、キッチンの中にある天井までの細い棚だけ。下の方の段にはキッチン用具が入っていたが、お料理を手伝っていた際、間違えて上の段を開けたところ、スーツケースが入っていてびっくり。なるほど、収納する場所がここだけなのであれば、入れるしかないなあ……と、ある意味その斬新さに感心したのを覚えている。
何はともあれ、引っ越してしまった今更「そうそう、フランスは収納が少ない家ばかりなのだから仕方ないよね〜」などと自分を慰めたところでどうにかなるわけでもなく。できる選択肢としては、①大掛かりな断捨離で物自体を減らす、②自分でなんとか収納スペースを増やす、の2択しかない。
日本では断捨離が相変わらず人気のようだけれど、私はあまり物を捨てたくない派だ。親が物を大事にするタイプで、なんでも取っておいては「ほら、これ捨てなくて良かったでしょ」と、捨てられそうだったものが役立つ場面を何度も見せられてきたこともあり、気持ちをスッキリさせるためだけに物を捨てるという決断ができない。エコロジーを常に考えている身としては、勢いで捨ててまた必要になり、再度買うという選択は避けたいという気持ちもある。
一度、ときめくかどうかで考えるというのもやってみたけれど、例えば、それほど使わないけれどたまに必要で、かつ買い直すには高いミシンなんてものは、やっぱり捨てられない。
そんなこんなで、私ができる選択は②だけ。ではどうやって収納度をアップするかだが、これまたチョイスが多くて考え中。作り付け風の大きな戸棚をリビングに入れるのが一番収納力はアップするだろうけれど、賃貸なのにオーダーメイドするのはもったいない。でも市販の大きな戸棚だと圧迫感が出て、せっかくのリビングの広々感が損なわれそう。では高さのない、低い飾り棚は? とも思うが、お洒落度を追求しすぎると収納力がなく、全てのものが収まるのか不安だし……。何が正解なのだろう? まあでも、こうして悩む時間は、意外と楽しいものだったりする。
<書籍紹介>
『GOROGORO KITCHEN
心満たされるパリの暮らし』
著:井筒麻三子 写真:Yas
定価:¥1980
講談社
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パリで働く日本人Mamikoが、暮らしのvlogをYouTubeチャンネル「GOROGORO KITCHEN」でアップし始めたら、日本人だけでなく、世界中の人たち(現在チャンネル登録者数41万人)からの熱い支持が!
色や柄を自由に使った小さいけれど素敵な部屋、フランスの家庭料理も普通の和食も作る日々のおうちごはん、蚤の市でのお宝探し、農家からもらってきた2匹の猫……。
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YouTubeでは語りきれない暮らしのコツや素顔のパリのエッセイを美しい写真と共にたっぷりとお届けします。
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