今、“第2次ブーム”と言われているのがピラティス。ピラティススタジオもあちこちに増え、その人気はヨガを凌駕するような勢い。そんなピラティスですが、実は、40代、50代のボディの崩れを立て直すのにぴったりなのだとか。その理由について、約15年前から、いち早くピラティスに着目して指導をしてきた、ボディワーカーでピラティス指導者の森拓郎さんに教えていただきました。
老化とは重力に負けて“関節が潰れる”こと!
40代、50代になると、姿勢が悪くなってボディラインが崩れ、腰痛や肩こりなどの不調も起きやすくなってくるもの。こんな状態のまま年齢を重ねていくと、見た目の老化が進んで、体が弱っていく一方……。まずは、加齢とともに体がこんな状態になってしまう原因を森さんに伺いました。
「その理由は、ズバリ、体が潰れていくからです。ほとんどの人は、加齢とともに筋力が落ちて、姿勢が崩れていきますが、このとき体で起こっているのが、“関節のつぶれ”です。加齢や運動不足によって筋力は低下していくため、体を引き上げることができず、重力によって関節が潰れてしまうのです。老化とは“潰れること”と言っても過言ではありません。年をとると、顔も体も四角くなっていくのは潰れるからです。体型が崩れるだけでなく、関節と関節の間が潰れると軟骨がすり減ってしまうので、脊柱管狭窄相や変形性股関節症なども招き、痛みも出やすくなってしまいます」(森さん)
では、潰れないように筋トレをすればいいの? と思いがちですが、40代50代には、きつい筋トレはおすすめしないとか。
「重力による潰れに抗うためには、筋トレで筋肉を鍛える方法もあります。ただ、40代50代の多くの人はすでに関節がつぶれているので、そんな状態で負荷の高い筋トレをして筋肉を収縮させると、関節がさらにつぶれてしまい、ケガの原因になったり、自分が思っていたのとかけ離れた体型になってしまう可能性もあるので要注意です」(森さん)
ピラティスは、関節を広げながら使うので、骨格が整い、姿勢がよくなる
そこで森さんがおすすめするのがピラティスなのだそう。
「ピラティスは、もともとリハビリを目的として作られたメソッドです。ピラティスがほかのエクササイズと違う大きな特徴は、“関節を広げながら使うこと”で、僕がピラティスに魅了されたのは、この点にあります。
ピラティスは、背骨などの骨のひとつひとつを動かして、伸ばす動きをするので、つぶれていた関節が伸び、姿勢がよくなります。また、ピラティスは深い呼吸をしながら行うのも特徴で、それによって姿勢を支える役割のある体幹のインナーマッスルが鍛えられます。ピンと伸びた姿勢を支えられるようになって、正しい骨格になるので、体を機能的に使えるようになります。その結果、疲れにくくなったり、腰痛などの痛みも起きにくくなるので、パフォーマンスが向上します。深い呼吸によって血液の流れがよくなるので、冷えやこりも改善しやすくなるうえ、代謝もアップして太りにくい体に。自律神経のバランスも整うので、メンタルも安定します。しかもピラティスは筋トレほど負荷が高くないので、40代50代でも無理なくでき、体の再構築におすすめなのです」(森さん)
<ピラティスでボディラインが整うしくみ>
ピラティスで関節を広げることでボディラインが整うことを、わかりやすく説明したのが、以下の写真。
股関節と太ももの構造を知ると、ボディの四角化を防げる
青い部分がブロックで、白いブロックが大腿骨。多くの人は、この写真のように、骨盤の真下に大腿骨がつながっていると思っているのでは? これは勘違い。
実際には、大腿骨は、この写真のように骨盤の下側の両サイドに股関節を介してつながっている。そして胴体は骨盤の上にのっている。
ピラティスの効果、おわかりいただけましたでしょうか? 次回は、ピラティスの姿勢を改善する効果についてさらに詳しく解説します。
森 拓郎(もり・たくろう)
ボディワーカー、ピラティス指導者、フィットネストレーナー。大手フィットネスクラブを経て、2009年に自身のパーソナルトレーニングスタジオ「rinato」を東京・恵比寿に開設。ピラティスにもいち早く着目して取り入れ、ボディメイクやダイエットの指導にあたる。足元から顔までを美しくするボディワーカーとして、モデルや女優など著名人からの信頼も厚い。著書は『ボディメイク・ピラティス』(ワン・パブリッシング)など50冊以上、累計発行部数100万部以上。国内最大級の月額オンライングループレッスンも行う。
オフィシャルサイト https://moritaku6.com
Youtube ボディワーカー森拓郎のチャンネル https://www.youtube.com/@森拓郎-h4z
撮影/水野昭子
取材・文/和田美穂
構成/藤本容子
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