のんびりした父と兄、二人が大好きすぎる母


根本 じゃあ、それまでもけっこう否定的な感じだったんですかね。お兄ちゃんは立てるけど妹はサゲる、というような。

M子 そうです。なにかと否定的だし、逆に兄のことは露骨に溺愛していて。

根本 M子さんは邪魔者、みたいな感じですか?

 

M子 邪魔者というよりは、引き立て役かな。母にとっては全てにおいて兄が一番なので、そのために妹の私は何があっても兄を超えちゃいけない、という感じです。試験の成績を否定してきたのも、結局はその数字が兄よりずっとよかったから。母の中で、私が兄を超えるなんてことは絶対あってはならなかったんだと思います。

テストで良い点を取っても「こんなの何かの間違いでしょ」娘の全てを否定する母親の“背景”とは【しんどい母の手放し方・第4回】_img0
イラスト:Shutterstock

根本 なるほど。

M子 あとは、父と私の関係ですね。幼い頃から父とは気が合うというか、仲がよかったんです。思春期の女の子によくある「お父さんイヤ、あっち行って!」という時期が私はなくて、昔も今もずっと大好きだし、父も私を娘としてすごく可愛がってくれました。それも母は気に入らなかったんだと思います。

根本 嫉妬ですね。お母さんは専業主婦でしたか?

M子 私が小さい時は家にいたけど、小学2、3年になったあたりからパートに行くようになりました。

根本 性格的にはどんな人なんですか。

M子 うーん……。内弁慶?

根本 あー、なるほど。内弁慶が発揮される時は、けっこうヒステリックになるんですか?

M子 ヒステリックというよりは無神経ですね。自分の言いたいことを、言いたいように言う。「いくら親だからって、そんな言い方ある?」というような言い方。

根本 ようはデリカシーのない人、ということですね。両親の関係、つまり夫婦関係はどうでしたか。

M子 夫婦関係はいいと思います。ふたりが夫婦喧嘩してるの見たことないので。

根本 あ、そうなんですね。お兄ちゃんと同じように、お父さんも“良い人”なのかな。

M子 そうですね、お父さんも良い人。で、母がお父さんのこと大好き。

根本 なるほどなるほど。

M子 我が家の男たちは、私を助けてくれることはなかったけど、基本的には二人とも良い人なんです。私、母のことで何度か父に泣きついているんですけど、父は「お前が我慢しろ」とは一度も言わなかったんですよ。いつだったか、「父さんは、お前は優しい子だと思うんだけどな」と言ってくれて、その時は少しだけ気持ちがラクになりました。

根本 お父さんとお兄さんの関係はどうでしょう。

M子 父と兄、ですか……。じつはうちの兄、音楽やってて。結婚して子どももいるんですけど、まだ夢を諦められないみたいなんですね。そんな兄を父は「あいつは大丈夫かねえ」って心配してますけど、かといって怒ることはないし、多分、心の中ではけっこう応援してる。つまり、二人とものんびりしてるんだと思います。

根本 ということはそんなに有名なミュージシャンってわけではないと。バイトして家族養って、という。あー、なるほどなるほど。

ーーこれらのエピソードから、根本先生にはどんな人物像が浮かんでいるのでしょうか。次週、いよいよ根本先生の解説ターンに入ります!

構成/山崎恵
 

 

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