当たり前”が違う!? 自治体複業で求められる人物像
自治体の案件にエントリーしているのは20代前半〜60代以上まで幅広いようですが、30代後半〜50代前半のミドル世代が全体の50.6%と約半数を占めているといいます。
「民間企業の複業に比べて、(自治体案件は)応募者自体もミドル層が多いですし、採用されるのもミドル層が多くなっています」(大林さん)
とはいえ、自治体の案件は民間企業に比べ募集枠が少なく、どんなことを求められているのかよくわかりません。
「自治体の当たり前と民間企業の当たり前は、全然違います。
行政は、税金を預かってそれを住民サービスのために使い、住民に届けるのが役目。一方、民間企業は、いかにマネタイズしていくか、売上・利益を上げるかという発想なので、そもそもゴールが違うんです。
冒頭でお伝えしたとおり、行政もお金を稼ぐ必要が出てきました。そのなかで、行政は民間企業に勤めた経験のある人の発想や仕事の進め方を知りたいというニーズが強い。
なので、民間企業で積み上げてきた社会人経験や対人コミュニケーション能力、行政の当たり前を受け入れる柔軟性や多様性が大切になります。人と人との感情の摩擦を理解されている方こそ、行政に求められています」(大林さん)
求められているのは、意外にもシンプルなこと。むしろ、公私にわたり人間関係の修羅場をたくさんくぐり抜けてきたミドル女性に向いてるのでは? とさえ思えてきます。
「産休育休を経験して社会復帰した人などは、多様性という観点からもニーズはあります。いろんな経験をされている方の意見を聞いて、行政も自分たちも生かしてみたいと思っているので、全般的に女性視点のニーズは高めですね」(大林さん)
人気があるのは無償複業……それってどういうこと?
でも、行政の仕事なんてやったことがないので、どこまで期待に応えられるか不安もあります。
「地方自治体の案件は、最初の半年間は無償というものもあります。もちろん有償案件もありますが、無償でチャレンジできるというのが、実は魅力の1つでもあるんです」(大林さん)
え、仕事なのに無償、しかもそれが魅力とは一体どういうことでしょう?
「複業クラウドでは、2000社超の民間企業にもご利用いただいていますが、毎月10万円をボーンともらって、いきなり民間企業で複業することにプレッシャーを感じる人が少なくありません。女性の場合は特に、本業や家庭との折り合いをつけながら、最初からどれくらいできるかわからないまま、複業を始めることに踏ん切りがつかない。
そういう方々にとっては、お金をもらわないことでハードルが低くなります。その上で、複業をとおして新しく社会との接点が持てる。自分が学んできたことや経験してきたことを形にしてみる。自治体で複業実績を1つ積んで、その実績をもとに次に民間企業でマネタイズする。そうやって1つのステップとして捉えている人が増えています」(大林さん)
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