ブックライターとして数々のヒット書籍を手掛けている上阪 徹さん。大企業の社長や実業家など、いわゆる社会的に成功した人たち3000人に話を聞く中で、上阪さんは成功者たちの意外な「仕事と会社の選び方」に気づいたといいます。その共通のキーワードは「偶然」でした。
大企業のトップや成功者たちは、仕事人生の歩みの中で遭遇した「偶然」にどう向き合ったのか。上阪 徹さんの著書『彼らが成功する前に大切にしていたこと――幸運を引き寄せる働き方』から、特別にその一部をご紹介します。
華麗なキャリアは「行き当たりばったり」だった
たくさんのキャリアヒストリーを取材で聞いてきましたが、びっくりするような華麗なキャリアを作った人も、計算ずくでキャリアを作ったわけではない、という印象を強く持っています。
資生堂、魚谷雅彦会長も、「行き当たりばったりです」とはっきり言われていました。事前にしっかりと計画を立てたわけではまったくなかったのです。
コロンビア大学でMBAを取得後、シティバンクに入社。2年でヨーロッパの食品メーカーに転じるも、後にフィリップ モリスに買収され、クラフト・ジャパンに名称変更。同社で副社長を務め、39歳のとき、日本コカ・コーラに上級副社長として入社します。
最初から計算ずくで、こんなキャリアが作れるわけがありません。実際、ヨーロッパの食品メーカーに転じたきっかけは、シティバンク時代の顧客と親しくなったことでした。そのときどきで偶然があり、その流れに直感的に乗ったのです。
選択したものは、思い切り好きになる
ただ、選択したものは、思い切り好きになって、のめり込んだと語っていました。死ぬほどのめり込んだのだ、と。大好きになったマーケティングは、何をするときも考えていたそうです。情熱を持って必死で取り組めば、自然に道はひらけてくるものなのだ、と魚谷さんは語っていました。
魚谷さんのような人ですら、仕事はいつもうまくいくわけではないのです。山あり、谷あり。しかし、谷のときこそ、苦しんで、もがいて、悩んで、本当にこれでいいか、もっと違う答えがあるんじゃないかとまた考える。
簡単に日々の仕事やキャリアが進んでいったわけではないのです。でも、それがいいのです。これでいいのか、という問題意識を常に持つからです。それが頭にあるから答えが深くなる。感度も鋭くなる。さらに行動するようになる。
何度も壁に当たり、やろうと思ったことができなかったりするのです。それでも、あきらめなかった。いつも考え続けていた。そうやって試行錯誤を続けることで、自信を持って行動に移せるようになったというのです。
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