中小企業庁の報告によれば、日本企業のうち中小企業が占める割合は99%。そんな日本経済の屋台骨ともいえる中小企業では近年、経営者の高齢化と後継者不足が深刻化しています。2023年の日本政策金融公庫の調査では、4465件の回答のうち、後継者が決定している企業は10.5%、廃業を予定している企業は57.4%という結果に。読者のみなさんの中にも、今まさに家業を継ぐかどうか、事業承継の問題に直面している方がいらっしゃるかもしれません。

 

今回ご紹介するダイヤ精機の社長、諏訪貴子さんは、20年前に創業者であるお父さまが急逝し、専業主婦から突如「町工場の社長」を継ぐことになりました。32歳の若さで社長となり、その10年間の奮闘を綴った著書『町工場の娘』は、NHKでドラマ化もされています。

後継者としてどのような苦労があったのか、そしてどんな思いで社長業と向き合ってきたのか。現在、50代のベテラン経営者となった諏訪さんに、インタビューでお話を伺います。

32歳、専業主婦から「町工場の2代目」へ。50代になった今振り返る“感謝と戦いの日々”【諏訪貴子さん】_img0
諏訪貴子(すわ・たかこ)さん/ダイヤ精機 社長
1971年東京都大田区生まれ。95年成蹊大学工学部卒業後、ユニシアジェックス(現・日立Astemo)入社。98年創業者の父に請われ、ダイヤ精機に入社するが、経営方針をめぐる意見の相違で退社。2004年父の急逝に伴い、同社社長に就任。日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー 2013」大賞受賞。日本郵政社外取締役。岸田内閣「新しい資本主義実現会議」有識者メンバー。2024年6月には日本テレビHDの独立社外取締役にも就任。