読めないところに本当に面白いものがある
キャリアにおける偶然の大切さを、ずばり語っていた人もいました。36歳で入社したボストン コンサルティング グループで後に長く代表を務めた御立尚資(みたち・たかし)さん。京都大学文学部を卒業後、最初のキャリアは日本航空でした。
もともと就職するつもりはなかったそうです。できると思わなかった。魚谷さんも語っていましたが、当時は文学部は学部制限で受けられる会社が少なかったのです。
大手レコード会社のディレクター試験に受かり内定をもらうのですが、悩みました。もっと違う道もあるのではないか、と思ったのです。それでいろんな話をしていたら、アメリカ文学を専攻しているのだから海外に興味があるだろう、と友人に教わるのです。
そこから日本航空という選択肢が浮かんだ。会社員をやるのであれば、より大きいところ、外に行ける可能性が高いところにいったほうが自分を広げられるのではないか、と思うようになっていったそうです。
だから最初の就職は、正直に言うと成り行き、良く言うと運命、悪く言うとオプションがそれくらいしかなかった、と語っていました。いずれも、かなりの偶然の要素です。
現場の仕事は、とても大きな意味があった
幹部候補生として入社したものの、仕事は現場から。まずは大阪の空港のカウンターで、国内線のチェックインや、空席待ちのハンドリングを担当します。2年目からはアシスタントパーサーとして、機内サービスにも従事しました。
現場の仕事は、とても大きな意味があったそうです。例えば、飛行機が飛ばなくなったら、学歴もポジションも関係ない世界。そのときに正しい判断をした人間こそが正しいのです。目的に合致した正しい判断ができればいい。
アシスタントパーサーも、やってみて肉体労働としての厳しさに気づきます。華やかに見えるCAの仕事ですが、実は時差もあってキツイ。そういう中でサービスをする。そして、乗客から学べることも大きかった。
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