フリーアナウンサーの住吉美紀さんが50代の入り口に立って始めた、「暮らしと人生の棚おろし」を綴ります。
50代頃からは、どれだけ気をつけても起きてくる体の変化がある。以前、この連載でも健康維持のルーティンについて言及したが、そんなルーティンを鼻であざ笑うかのように、ある日突然、想いもよらぬ不調が襲ってくる。いわゆる更年期障害だ。
今年の夏、愛猫を看取り、たまった介護疲れがどっと出た頃から急にホットフラッシュが始まった。最初は「今年の夏は猛暑だから本当に暑いな」くらいに思っていたが、どうも様子がおかしい。エアコンで涼しい場所にいても、突然耐えられないほど暑く感じ、驚くほどの汗が吹き出てくる。
カーッとのぼせるように体中が熱くなり、息がハアハアと上がり、動悸もする。玉のような汗が額から首から垂れ、服の中は汗だくになる。電車の中でもホームでも、街を歩いている時にも、家でくつろいでいる時にも、不意に暑さの波がやってくる。ラジオの生放送中2時間の間にも1〜2回、なんの脈絡もなく来る。
急いで扇子で仰ぐ。家にいる時には急いで服を脱ぎ、タンクトップで扇風機に当たり、体を冷やす。外にいる時は脱げないので、のぼせ過ぎて立っていられなくなり、その場でしゃがみ込んでしまうこともあるくらいだ。
母は軽めのホットフラッシュがあったかなかったかくらいと聞いて、自分もないだろうと高を括っていたので、こんなにわかりやすい、典型的な形で更年期障害が来たことに驚いた。しかし、考えてみれば親子といえど、時代も、生活スタイルも、心身への負荷のかけ方も違うのだ。そして、50代は社会的責任も増え、仕事も任され、家族からも頼られ、場合によっては介護も始まりと、自分の体のことを後回しにしてしまいがちな年代なのだと自覚した。
最近、更年期外来に相談に行ってみた。
「冬はいらっしゃる方増えるんですよ。周りが寒がっているのに汗をかいているのが恥ずかしいと、受診されるんです」と先生。「漢方薬やイソフラボンサプリメントを試しつつ、必要だったら、ホルモン治療をしましょう」と言われた。
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