ホルモン治療をすると、程なくホットフラッシュが落ち着く人が多いらしい。でもホルモン治療をするには、またひと通り婦人科や乳がんの検査をしなくてはならないので、手間も時間もかかる。うーむ。ただでさえ仕事や生活に追われて忙しい中で。それに飲み始めたら、何年飲むことになるかもわからないようだ。
「でも、女性ホルモンの減少は誰もが通る道なので、絶対に薬を飲まなくてはならないということではないんですよ。日常生活が辛い、仕事上や生活上困る、ということであれば、薬という選択肢がある、ということです」
なるほど。つまり、自分はどうしたいのか、ということか。変わりゆく自分を緩やかに受け入れつつ、これからどう過ごしたいのかを選んでいくということ。何を妥協して、何にこだわるのか。いずれにせよ、自分との付き合い方を、考え直す時に来ているのだ。
他にもある。
足の裏、特に踵が、いつ頃からか痛くなった。起きてすぐ、足を床に着く瞬間や、座っていて立ち上がる時、踵に激痛が走る。でも、痛くない日もあるし、気のせいかも、靴擦れかも、あるいは寝ているときに意外に踵に体重がかかるというから、枕のせいかも、などと誤魔化してきた。しかし、昨年秋頃から、耐え難いほどの痛みに変わった。痛くて歩けない、と思ってしまうほどの日も。
お正月、家族で過ごしている時、母がおもむろに「私が昔なったのと同じ、アレじゃない」と言う。アレ?「なんか難しい名前のやつよ」
整形外科を受診し、レントゲンを撮ると、そうだった。
アレとは「足底腱膜炎」および「踵骨棘(しょうこつきょく)」。足底腱膜とは、足の指の付け根から踵まで縦につながる腱膜で、土踏まずのアーチを支えたり、歩く時にクッションの役割を果たしたりしている部分。その腱膜に繰り返し負荷がかかることによって炎症が起きている状態が足底腱膜炎。
その腱膜の、踵の骨とくっついている部分が引っ張られ続けることで、小さな棘のような尖った骨が踵から生えてくるのが「踵骨棘」。レントゲン画像を見ると見事に、絵に描いたような棘が生えている。猫の爪そっくりの形だ。激しく驚く私に、医師は物凄くクールに告げる。
「毎月必ず数人受診に来るような、中年女性に非常に良くある症状です」
ガーン。中年女性。その言い方にもショックを受ける。確かに分類は「中年女性」、そりゃそうだけれども。ショックの上乗せ。
中年女性に多いのは、アーチを支える筋力が弱くなったり、体重が増えたりなどの原因も考えられるし、更年期症状のひとつと捉える医師もいるようだ。しかし問題は、決定的な治療法がないことだ。
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