2018.5.24

【シネマコレクション・19】
古きよき映画を新しいスタイルで『アーティスト』

米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。

The Weinstein Company / Photofest / ゼータイメージ

第84回アカデミー賞で作品賞などを受賞した『アーティスト』。モノクロのサイレントということで、難しい映画かな? と尻込みしている人には、とにかく観てみて、とおすすめしたい!
セリフがないからこそ観ている方の集中力も高まって感情がより豊かに伝わってくる、きっとそんな映画体験ができると思います。

’20年代のハリウッドを舞台にしたスターと新進女優の恋が描かれていて、物語はとてもシンプルでロマンチック。同じエンターテイメントの世界に身を置いている人間としては、時代の波に乗れない主人公を反面教師にしなきゃ、ということも考えました。

でもひとりぼっちになってしまった彼のそばに、いつも寄り添っている愛犬、アギーがやばいくらいかわいかった! ここまで犬の気持ちが伝わってくる映画には、なかなか出会えないような気がします。ダンスのシーンには私の大好きなボブ・フォッシーを思わせる振り付けもあって、ラストのタップダンスは一緒に踊り出したくなるほどの幸福感を味わえました。

最後まで観て強く感じたのは、ただ昔を懐かしむのではなく、今の人たちを楽しませるための工夫がたくさんある作品だな、ということ。古いものを新しいスタイルでよみがえらせたこの映画は映画館でこそ観たい1本です。

 

『アーティスト』
’20年代、ハリウッド。サイレント映画の大スター、ジョージは、トーキー映画の台頭により落ちぶれてしまう。彼が目をかけ、恋をした新進女優のペピーは人気を集める存在になって……。フランス製のモノクロのサイレント映画でありながら、第84回アカデミー賞で作品賞など主要部門を独占。

取材・文/細谷美香
このページは、女性誌「FRaU」(2012年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。

 

PROFILE

米倉涼子/1975年、神奈川県生まれ。ミュージカル『シカゴ』に主演、ブロードウエイで日本人女性としては初めて2度の舞台を踏む。代表作にドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』シリーズ(テレビ朝日系)など。