こんにちは。編集・川端です。
春ドラマも終わってしまい、テレビで見るのはNetflixかAmazonビデオプライムばかり。でも、毎週欠かさずみている番組があります。鶴瓶さんの「A-studio」。大好きなんです。誰がゲストでも観ちゃいます。先週末の友近さんもよかったですね。

ゲストと親交の深い人に(本人には内緒で)鶴瓶さんとMCが話を聞きにいくところが醍醐味。私がもし取材されたら、どういう話をするかな〜とよく妄想します。(自分がゲストの妄想じゃなくて、幼馴染とか、私の弟とかがA-studioゲストになったらってことです)。

そんなA-studioファンにはたまらない、というか怖くて震える小説に出逢いました。

辻村深月さんの最新刊『噛み合わない会話と、ある過去について』。あの頃ことばにできなかった悔しさや怒り、今になって……という切り口の短編集です。

収録された4篇とも、なんとも言えない余韻の残る作品ばかり。強烈だったのは2篇目の「パッとしない子」です。

主人公の美術教師・美穂の元教え子である高輪 佑(たかなわ たすく)は、今や国民的なアイドルグループの一員。あるテレビ番組の収録で、彼が母校を訪れ、再会することに。美穂にとって、小学生の頃の彼は地味で目立たないタイプという印象しかないのですが……というお話です。

佑くんは想像するに、嵐とか(もうちょっと若いかな、Hey!Say!JUMPか三代目J Soul Brothers)の誰かみたいなポジション。その子が自分の元教え子だったとします。「いいなあ」「すごいなあ」「どんな子だった?」と今の自分の生徒たちからも、娘からも興味津々に聞かれまくりなわけです。

私ならなんて答えるかな〜。「おとなしめで、わりと地味な感じの子だったよ」と答える確率は高いと思います。「めちゃめちゃ可愛くて、その頃から目をつけてた!」とは言いにくいですもんね(もしそうだったとしても)。

北沢平佑さんのイラストの装丁も素敵。

相手からは、感動や感謝のことばを想像すると思う。でも、この佑くん、番組収録後に美穂と2人きりになったタイミングで

“僕のことを「パッとしない子だった」といろんな人に言いふらすのやめてください”

と強い口調で咎めるのです。え?と思うけど、思い当たるフシはある美穂。

ここからの彼のたたみかけに戦慄……! 話は思いがけない方向に……!なのであまり詳しく書きませんが、自分なら立っていられないと思う。

いたたまれない、申し訳ない、調子に乗っていた、不遜だった、どれも正解でどれも正確ではない。嘘を言ったわけじゃない。地味だったのは本当だ。

A-studioの私の妄想もそうですが、自分の知り合いが有名人になった場合、ベタ褒めするよりも、彼・彼女のダメなエピソードを話したい欲の方が強い気がします。”そんな一面を知ってるワタシ”ってところに優越感を感じるからですよね。

例えば、大草編集長(改め、今日から大草ディレクター!)が、A-studioに出ることになったら、私は何をしゃべるかな?とか想像してしまいます。

辻村深月さんは、そんな人間の業をスルーさせない。そこ、突っ込まないでぇ〜と逃げたくなるくらいコーナーまで追い込みます。

ここ最近で読んだ小説でNO.1の怖さと面白さです。『噛み合わない会話と、ある過去について』は、今年ののマイベストブック入り間違いありません。

本日、7月2日の12時にミモレはサイトが新しくなります。先週まではその準備に追われていて、小説を読むココロのゆとりがなかなかなかったのですが。日曜日はやっとゆっくり。

このブログも、朝読んだ方と午後読んだ方は違うデザインになっているはずです。ドキドキ!!

新しい連載や仕掛けも続々スタートする予定です。ちょびっとビターな本やテーマも編集部ブログでは引き続き綴っていけたらと思っています。

今日からもミモレをよろしくお願いします!