【質問2】迷走神経反射を防ぐ方法は?
 

迷走神経反射が起こりやすい人は、多くの場合、決まった状況で症状が出ます。例えば、前回の記事でご紹介したような「朝礼で倒れてしまうお子さん」の場合には、長い間じっと立ち続けているという状況で同じように気を失ったり倒れたりします。繰り返し症状が出ている場合には、本人も「こういう時に血圧が下がりやすい」と気がついていると思います。

まずは、怖い病気ではないことを知ってもらい、安心してもらうことが大切です。「怖い」という感覚自体も反射を起こしやすくすることに関与している可能性があるからです。また、可能ならばそういう状況を避けるというのが1番の治療となります。

ただし、そうは言っても大切な朝礼をいつもお休みするわけにもいかないので、そういった場合には先生と相談の上、朝礼の時は座って聞けるように配慮してもらうなどの工夫が考えられます。

また、朝礼の前に塩分や水分をよくとっておくことも血圧が下がりにくくなる助けとなります。

あるいは、血の気が引くような感覚がしてきた時、倒れる前に、腕や脚の緊張を高めて血圧を上げる方法も考えられます(参考1)。例えば、両脚を交差させて緊張を高めたり、お腹、お尻などの筋肉に力を入れたり、両手で何かを握りしめたり、両腕を引っ張り合うようにして腕に力を入れるなどして、血圧を維持することで、気を失ったり倒れてしまうのを防ぐことができます。

実際に症状が出た場合には、横になり足を高くすることで状態はよくなるので、もしもの時のためにぜひ覚えておいてください。最終的には薬の助けが必要となる方もいますが、まずはここに書いたような薬を使わずにできることを試していきます。     

【質問3】起立性低血圧を防ぐ方法は?


起立性低血圧が起こるようになった場合、背景に貧血や脱水が隠れていることがあります。貧血があれば貧血の治療を、脱水があれば水分や塩分をしっかりとることで起立性低血圧も良くなることが見込まれます。

例えば、数日下痢が続いていて、朝起き上がりにめまいがしたというようなケースでは、下痢による脱水と、それに引き続いて起きた起立性低血圧と考えられます。こういった場合には、下痢で失われた水分をしっかり口から補うことで、低血圧が解消されます。

血圧の薬や前立腺の薬を内服中の方では、薬が原因となっている可能性も考えられます。かかりつけの医師とあらためて内服中の薬について見直してみることも大切です。

また、起き上がりに症状が出ることがわかっているので、ゆっくり起き上がる工夫も考えられます。急速に起き上がってしまうと、体がついていけませんが、ゆっくり起き上がれば、体の順応が間に合う可能性が高まります。

弾性ストッキングと呼ばれるストッキングの有用性も知られています(参考2)。この弾性ストッキングは、通常のストッキングとは異なり、きつく脚を締め上げて加圧する効果があります。この加圧によって足の血管が締め上げられ、循環が良くなり、起き上がりの時に血圧が下がりにくくなることが知られています。弾性ストッキングは各ドラッグストアなどで手に入るので興味のある方はぜひ試してみてください。     

弾性ストッキングの代わりに腹帯を使う方法もあります(参考2)。こちらもお腹を締め付けることで弾性ストッキングと同様の効果を得られると考えられています。

また、日頃の運動も助けになります。低血圧でなかなか、という場合には無理をせず少しずつ体を慣らしていくことが大切です。低血圧の症状で寝ていることが多くなると、負の悪循環に入ってしまいます。この負の悪循環を断ち切るためにも、少しずつ体を動かす時間を増やすようにしてみてください。
 

 

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