フードジャーナリストの小松宏子さんが、最新の食のトレンドを紹介します。 

巣ごもりが基本の今年の冬は、寒さの厳しさも手伝って、熱々の鍋料理は格別の楽しみです。調理の準備が楽で、洗い物も少ないと、いいことだらけの鍋ですが、豚しゃぶ、水炊き、キムチ鍋…、自分で作っているだけだと、どうしてもバリエーションの少なさに、ちょっと飽きてくるのもまた事実。
たまには、お取り寄せの鍋を織り交ぜてみませんか? そしてどうせ取り寄せるなら、絶対にうちで作れない鍋セットを購入したいものです。具材の下処理も何もかもが完璧で、あとは煮るだけなのに、驚くほどの美味しさ。そんな口福を約束する、名店の鍋3品をご紹介しましょう。

● 銀座ふじやまの「白味噌鍋」
4人前¥21000

 

銀座ふじやまの店主、藤山貴朗さんは、京都の名料亭「高台寺和久傳」の総料理長を長く務め、一昨年、自分の力を試したいと、敢えて銀座で独立。京都を思わせる静謐な空間と、素材の力を生かし切った端正な料理で、食通にはつとに評判の名店です。和久傳といえば、お取り寄せの品々のセンスのよさでも評判ですが、そのDNAを見事に受け継いだ銀座ふじやまの取り寄せ鍋も、洗練の極みです。
現在販売しているのは、本鴨鍋、うなぎ鍋、牛肉のだししゃぶ、白味噌鍋の4種。今回はなかでも、一、二を競う人気の白味噌鍋をご紹介しましょう。

 

淡路天然鯛、車海老、帆立貝柱、小餅、菜の花、九条ねぎ、大浦ごぼう、京人参、聖護院かぶら、蓮根、海老芋、丹後こんにゃくと盛りだくさんの最高級素材を、白味噌をだしなどで溶いた特製のスープで煮ていただきます。ほのかに甘さとこくのある白味噌だしは、やみつきになること請け合い。魚介はごく上等で鮮度のよいものですから、さっとくぐらせるように煮て、京野菜はことことと。ふくよかな日本酒との相性はもちろん抜群だし、シャンパーニュと合わせても、ご馳走感もひとしおです。

DATA
銀座ふじやま
東京都中央区銀座3-3-6 銀座モリタビル7F tel. 03-6263-2435

 

● ツバクロすっぽん食堂 「すっぽん鍋セット」
2人前¥4320(税込み表記)

 

京都と大阪のすっぽん居酒屋の一番人気の取り寄せ鍋。肩ひじはらないカジュアルな店構えながら、本格派の味わいには定評があります。長崎県産のすっぽんをたっぷり使用しているのに、このお値段は驚き!! すっぽんを昆布だしと日本酒でじっくり炊き、 味つけは塩水と淡口醤油のみのさっぱり仕上げ。だしを鍋に入れ、柔らかく煮たすっぽんとえんぺらを軽く温めるだけという手軽さも最高です。京都・久御山産の九条ねぎをたっぷり添えていただけば、もう幸せ。たっぷりのコラーゲンで、明日のツルツルお肌も楽しみです。
※取り寄せのセットには餅と豆腐は入りません

DATA
ツバクロすっぽん食堂 京都本店
京都府京都市中京区木屋町通三条上ル上大阪町516 キヤマチジャンクションビル4F
tel. 075-251-0234

● FUSABUSA 「房総ブイヤベース」
2人前 ¥8800(税込み表記)

 

ブイヤベースでおすすめのものって、意外に少ないのですが、千葉の房総で里海里山の食文化を伝えるグロサリー ブランド「FUSABUSA」のセットはイケてます。自分で作るとなると、何種もの魚介を揃えないといけないのがまず面倒ですが、こちらは、ブイヤベースに最適な魚介を、下処理もした上でセットにして送ってくれるのです。

 

内容は、はまぐり、あさりなど貝2種、かさご、めばるなど地魚3種、伊勢海老約150gと、盛りだくさん。しかもすべて、房総で揚がった鮮度抜群のものを発送。
味の決め手となるスープは、ほんのりアニスが薫り、しっかりと魚介の旨みが出ているのに、どこまでも上品なお味。感動的なおいしさです。

 

作り方も、ストウブなどの鍋にスープを温め、魚介を加えてぐつぐつと煮るだけ。オーガニックの餌で育つ平飼いの有精卵で作るルイユ(にんにく味のマヨネーズのようなもの)も実に美味。途中から加えて、味変をたのしんでみてください。ちょっといいワインを開けたいときに最適なおしゃれな鍋です。

DATA
FUSABUSA
千葉県鴨川市釜沼638 tel. 0470-94-5747

文/小松宏子
構成/藤本容子


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