男性はイケメンでなくても人生で損をしない

2016年国宝級イケメンランキング(講談社ViVi主催)で1位を獲得した俳優、山﨑賢人さん。写真/アフロ

とはいえ、世の中の流れとして「イケメン批評は差別ではないか?」という空気がそこまで激しくは押し寄せていない、と感じているのも事実です。もちろん、画一的な男らしさの押し付けに、生きづらさを感じている声は多く聞かれるようになっており、これは男女関係なく社会が改善していくべき課題だと思っています。その上で、「イケメン」いうワードに関しては、とりわけ抵抗感や疑問を覚えることなく多くの人が使っている、というのが現状ではないでしょうか。

たとえば職場などで女性に向かって「美人ですよね」とコメントする人がいたら「えっ……」とピリつくと思いますが、男性に向かって「イケメンですよね」とコメントする人がいても、同じレベルでは空気が凍らない気がしますから。

 


「美人」のタブー感、「イケメン」のOK感


ではなぜ「美人」にはタブー感があり、「イケメン」にはOK感があるのか。その理由が気になり、ずーっと考え続けていたのですが、あるとき突然私は「そうか、そういうことか!」と膝を打ったのです。

それは、ある男性タレントを撮影していたときのことでした。私は撮影風景を眺めながら、「この人はいわゆるイケメンだなあ。こんなにイケメンだったら、人生、いろいろ良いことがあるだろうなあ」と思いかけ、はたと「いや、果たしてそうなのか?」と止まったのです。というのも、この男性が一般社会にいたら、この容姿によってどのような利益を享受するだろう?  と考えてみたからです。すると、不思議なことに彼のイケメンぶりは、たとえば会社員生活などにおいてはさしてプラスに働かないだろう、という気がしてしまったのです。それはなぜか? そう考えたときに、私たちが「イケメン」という単語を使うことがなぜOKか、という答えが自分なりに見つかったのでした。