年齢や体調によって適切な栄養は変わる


「予防医療」で大切な要素は健康診断、予防接種、生活習慣の三つ。今回は生活習慣、その中でも食生活について考えていきたいと思います。

「食事なんて好きなものを食べていればそれでよいだろう」と思われるかもしれません。しかし、食事と密接に関連した病気も数多く存在し、食生活を変えることで防げる病気があると考えられているのも確かです(参考文献1)

では、病気を防ぐ食生活とはどのようなものなのでしょうか。

まず初めに断っておきたいことは、「適切な栄養」というのは年齢や治療中の持病、嗜好などによってそれぞれ大きく異なるということです。また、食べることには「美味しいものを食べる幸せ」という要素もあり、いくら健康によいからといって、自分の嗜好にまったく合わないものを無理して食べ続けていても、仮に体は健康であったとしても、心は健康ではいられないかもしれません。

 

あるいは、30歳の時に食べ過ぎで肥満があり糖尿病を患っていれば、摂取カロリーを制限しなければならないかもしれませんが、その人が80歳になって痩せてきてしまったということになれば、長年慣れ親しんできたカロリー制限はかえってマイナスになっているかもしれません。

 

このように、同じ人でもライフステージによって、あるいは体調によって「適切な栄養」というのは変わってくるのです。栄養とは基本的にはとても個別性の高い話です。

そのうえで、ここでは個別の細かな違いまでを触れることはできませんが、現時点での科学でわかっている知見から、一般的に高血圧や肥満、心臓や血管の病気、がんといった病気を防ぐ可能性が高いと考えられている食生活をご紹介します。

 
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