分娩の痛みを減らす選択は理にかなっています


一方、デメリットは、麻酔の影響で陣痛が弱くなる場合があることで、そうすると分娩の進行が遅くなるので、陣痛促進剤を使ったり、赤ちゃんの頭の吸引が必要になったりします。
そのほか、麻酔が半分しか効いてない場合があったり、母体が発熱したり、まれに血圧が下がったりすることがあります。
いずれにしろ麻酔のトラブルが中心で、赤ちゃんや母体への影響はそこまで心配しなくてよいでしょう。

日本では2017年に無痛分娩で、母体が死亡したり後遺症が残ったりした事故が起きたりしたため、マイナスなイメージが広がってしまいましたが、これは正しく分娩管理されていなかったからで、大きなトラブルが起こる可能性は10万人に一人程度です。

 

日本には産科の麻酔科医が少ないので、無痛分娩の環境が整っていないという側面もありますが、痛みを減らす選択は理にかなっているので、今後は日本でもさらに環境が整って、無痛分娩が増えていくといいなと思います。

 
 

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編集協力/和田美穂
イラスト/Shutterstock


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