在宅介護のメリット&デメリット


在宅介護の最も良い点は、帰る家があるということです。会社でも、相性の良くない人とずっと同じ建物で過ごすとなったら少し辛く感じますよね。それは高齢者施設でも同じことかもしれません。

認知症の人は、高齢者の間でも「話が通じない人」などと陰口を言われてしまうこともあります。本人が分かっているか気付かないかは別として、家族としてはとても悲しいこと。在宅介護の場合、仮にデイサービスでそんな思いをしたとしても、家に帰ることでホッとひと息。家に帰れば気が紛れるというのがメリットだと思います。

在宅介護には、介護者の負担以外のデメリットもあります。たとえば家族が急な残業などで家にいられない時は、デイサービスなどから帰ってきた親を家に入れておいてもらう必要があるため、場合によっては家の鍵を預けることもあります。人によっては、自分がいない間に自宅に入られることに抵抗がある方もいるかもしれません。

 

在宅介護における心構え


私は親を呼び寄せ、在宅介護を選択しました。親への感謝の気持ちは大きかったとは思います。ですが仕事を続けないと家のローンや子どもの学費が払えないこともあり、仕事は辞めませんでした。また、夫や子どもがいる中で突然介護が始まったので、家族の精神的な負担も当然増えてしまいます。なので自分が介護のほとんどを背負う覚悟でした。

私の場合、親が認知症であったことも在宅介護ができた理由の1つです。個人差もありますが、認知症の親とは少しくらい言い争っても後腐れがないことが救いでした。また、認知症の方は1人でいても、それほど疎外感を感じないようにも思います。

自宅(在宅)介護を選択すると、責任を背負いがちになるので、抱え込まずに開き直ることがポイントです。

 


認知症の親を在宅でどう介護する?


在宅で介護を行う際は、ホームヘルパーや看護師、理学療法士に自宅に来てもらう「訪問介護・看護サービス」、デイサービスやデイケアなどに通う「通所介護サービス」、施設などに短期間泊まる「短期入所介護サービス」などの公的介護サービスが利用できます。

私はフルタイムで働いていたので、訪問介護やデイサービスでは見守りの時間が足りません。そこで「小規模多機能型居宅介護」という、訪問介護、デイサービス、短期入所(ショートステイ)が1つの施設にあって、同じ職員が対応してくれる事業所を選びました。

いろいろな事業所を渡り歩くのは高齢の親にとって負担になりますし、認知症であればそれはなおさらのこと。また、多忙な介護者も1つの事業所に気を配れば良いため、窓口が一本化されて効率的でもあります。