2022年も残すところあとわずか。毎年恒例となりましたバタやんこと川端里恵の「ベストブック2022」トップ5を発表します! 2022年1月1日〜12月28日までに刊行された新刊小説の中から、これはすごいと唸らされた作品をランキング形式でご紹介。

Podcast「真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室」で、累計150冊以上推薦してきたバタやんが“今年を代表する傑作”と選んだ5作品にはある共通点があってーー。

 

こんにちは。お待たせしました! 待ってない? ベストブックを発表しないことには、今年を締めくくれない……というわけでミモレに戻ってきました。

 

究極の“両思い小説”爆誕!
5位 『光のとこにいてね』一穂ミチ

箔押し印刷って高いのですよね。編集者と関係者の「コレは絶対売れる」っていう確信と気迫を感じます。「光の〜」のタイトル文字は、ただの金箔文字じゃなくて、木漏れ日のようなムラのある加工もしてあり、芸が細かいっ! いつまでも眺めていたくなる美しい表紙です。『光のとこにいてね』一穂ミチ

ある二人の女性が互いに惹かれ合い、求め合いながらもすれ違うーー友情とも恋愛ともカテゴライズしがたい関係性と感情を描いた物語です。

つい先日までドラマ「silent」に夢中になっていました。想と紬はお互いに替えのきかない人で、両思いだと気づいている、見てる側は二人が結ばれて欲しいとつい思っちゃうけど、当人たちにはもしかしたら付き合うとか結ばれるとかそういうことはどちらでもいいのかもしれないと。そういう描き方の共通点をこの『光のとこにいてね』の結珠(ゆず)と果遠(かのん)にも感じました。ドラマ「silent」にハマった方はぜひ!

タイトルの「光のとこにいてね」って言葉が、結珠と果遠の大事なシーンに何度か出てくるんですね。いろんな意味合いに捉えられて、相手への深い愛を感じる絶妙な言い回し。“タイトル”オブ・ザ・イヤーにも選出したいです。