パリ在住のミモレブロガー大熊洋子さんが、長年愛用しているロングコートと編み上げブーツのコーディネートを紹介します。


ロダン美術館の受付ロビーに入ると、大きな大きなクリスマスツリーが出迎えてくれる。どう頑張ってもてっぺんまで写真に収めることが出来ない巨大なモミの木を、私は初めて見た。

二階フロアの踊り場まで届く高さのクリスマスツリーは、サパン(もみの木)特有のスッキリとした清涼感のある香りがする。ここは気持ちが落ち着く良い空間。

前回のお話のリベンジで、友人と私は、毎年この時期の恒例でもあるミュージアム訪問とクリスマスのショッピングのために再会した。ダイレクトに美術館に集合ね。私たちがカフェで待ち合わせるのは危険。いつまでもおしゃべりに夢中になって、結局何もしないで終わるのは目に見えているのだから!

 

この日の装いは、Hirokoさんにしてはコンサバで落ち着いた雰囲気をセレクト。偉大な芸術家の作品達に失礼のないように。そして何より、これからクリスマスプレゼントを選びに、世界で一番美しく気品のあるブティックに行くためでもある。

明け方に雪がちらついて、そのあと青空になったパリは、身の引き締まるような寒さで気温は1度。こういう日にはロングコートとブーツの出番である。

もみの木の針葉が落ちまくっている床はフランスのクリスマスあるある。きちんとお掃除しましょうよ。

マディソンブルーのバスローブコートは、軽く暖かでカッコいい。Hirokoさんのコーデでは何度も登場している冬のお馴染みアイテムで、素材はキャメル(ふたこぶラクダ)100%。優れた留熱性、保温性に特徴のあるこの素材は、吸湿性と発散性にも長けていて、寝具にも使われているそうだ。

ブーツは随分と前に買ったもの。まだ日本に住んでいた頃、大好きだった靴のセレクトショップ「Très Très(トレトレ)」で背伸びをして手に入れたことを思い出す。Made in Italyと書いてあるから、ヨーロッパから日本にやって来た子を、再び故郷に連れ帰ってあげたようなものかな。

 

脇にジッパーなどの付いていない正真正銘の編み上げブーツは、履くのにも脱ぐのにも一苦労、時間がかかるのなんの。デートには絶対にお勧めできない。しかしながら、このパーフェクトなフィット感と暖かさ、歩きやすさは、こういった煩わしさを一瞬で忘れさせてくれる。どこか面倒くさい昔気質な、頑固で不器用な物や人間ばかりに惹かれるのは、私自身がそういう生き物だからなのかもしれない。

コートの中は黒のタートルネックセーターとゼブラ柄のマーメイドスカート。セーターの下には冬の強い味方、ヒートテックと日本製のホッカイロがいくつか仕込んである。

ロダン美術館の後、歩いて行ける距離にある7区のエルメスへ。カチコチに緊張しながら入店する私を見て友人は笑った。だってここは特別な場所なんだから。私には恐れ多いメゾンなの。誰かさんへのプレゼント探しでなければ、足を踏み入れる勇気なんてないわ。

ホリデーシーズンに在庫があったのは幸運だという定番の名刺入れを選んだ。実物は想像以上に美しく、世界中の人々がこのメゾンに魅了されるのに納得する。はたして彼は喜んでくれるだろうか。欲しいものは何もない、ブランドものにも興味がないと言っていたけれど、願わくば、胸の内ポケットに忍ばせて、遠く離れている時でも、いつも私を感じていて欲しい。なーんてね。プレゼントは、渡した瞬間に贈り主の役目は終わるのだから、その先を考えるのは野暮というものだね。

とっても素敵なマダムが丁寧に接客をして下さり、私の緊張はどこかへ飛んで行ってしまった。いつかこのブランドのスカーフがさりげなく似合うような女性になりたいな。

Hirokoさんの「今日のコーデ」は、今号が年内最後の掲載になります。今年も沢山の応援を有難うございました。クリスマスイブの本日、皆様いかがお過ごしでしょうか?私は日本行きのフライト中、機内でジェームス・ボンドでも観ながらひとり一杯やっている頃です。皆様にも、健やかで友愛に満ちた、素敵なホリデーシーズンとなりますことを心より願って、年末のご挨拶とさせて頂きます。どうぞ良いお年をお迎えください。


構成/幸山梨奈
 

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