マスクの世界観を語る上で欠かせないSF


そんなファウンデーションを窮地に陥れたのが、ミュータント(突然変異体)で超能力者の「ミュール」です。他人の精神に干渉し、抵抗心をなくし、自分に対する忠誠心を持つように仕向けられる強力な超能力を持つミュールは、ファウンデーションの首都ターミナスを制圧し、支配下に起きます。

しかしセルダンは、ファウンデーションがこのような危機に陥る可能性も心理歴史学で予測しており、あらかじめ「第二ファウンデーション」を設立していました。その存在を知ったミュールは、第二ファウンデーションを敵対視して、探索に乗り出します。ミュールと対決することになった第二ファウンデーション。その長である「第一発見者」と呼ばれる人物は、ミュールを罠にかけて無力化し、戦いを終結させます。

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なぜファウンデーションシリーズが偉大なのでしょうか? スター・ウォーズのようなSF大作も同シリーズなしに存在しなかったからです。日本の『銀河英雄伝説』や『機動戦士ガンダム00』のストーリーにも似たところがあり、一定の影響を与えているといえるでしょう。

 

つまり、宇宙をテーマにしたSFにおける1つの“ファウンデーション(土台)”を創ったのがアシモフといっていいでしょう。アシモフが本シリーズを書く際に参考にした本があります。それがエドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』で、それを何度も読み返してからシリーズ第3巻の『第二ファウンデーション』を書いたと同書の冒頭で述べています。壮大な歴史を描くローマ帝国衰亡史はアシモフに加えてマスクの愛読書でもあります。

マスクのSF的な世界観を理解するうえで、彼が愛読するファウンデーションシリーズは欠かせません。