グーグルもアップルもSF作家をコンサルタントに

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2017年にハーバード・ビジネス・レビューに掲載された記事で、SF作家のエリオット・ペパーはこう述べています。

「SFは、予言的だから役立つわけではない。私たちの世界観を再構築するから、役立つのだ。海外旅行や瞑想のように、SFも心に別宇宙をもたらすので、自分の思い込みにみずから疑問を持つことが可能になる」

テクノロジー分野で画期的なイノベーションを生み出そうと思うならば、SFから学ぶことは力になります。米国のIT業界をリードするグーグルやアップル、マイクロソフトも、SF作家をコンサルタントとして雇っているそうです。

 

「架空の未来を探索することで、私たちの思考は誤った制約から解放される。正しい質問をしているだろうかと、疑問を持つようになる。想像力のほうが分析より大切なときがあると、認めざるを得なくなる」(ペパー)。マスクは子どもの頃から愛読しているSFから想像力の翼を羽ばたかせて、世界を変えるイノベーションに挑み続けています。
(本文中敬称略)

著者プロフィール
山崎良兵(やまざき・りょうへい)さん

上智大学文学部卒、ニューヨーク大学大学院修了。1996年、日経BP入社。日経ビジネス編集部、ニューヨーク支局、日本経済新聞編集局証券部、日経ビジネス副編集長、クロスメディア編集部長、日経ビジネス電子版編集長を経て、2022年4月から経営メディアユニット長補佐。日経ビジネスの記者として、自動車やIT、小売りなどの分野を担当。テスラCEOのイーロン・マスク氏、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏を個別でインタビューし、それぞれの特集記事を執筆した。

『天才読書 世界一の富を築いたマスク、ベゾス、ゲイツが選ぶ100冊』
著者:山崎良兵 日経BP 2640円(税込)

世界にイノベーションを起こし続ける、天才3人が選ぶ100冊とは? テスラCEOのイーロン・マスク、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ。猛烈な読書家としても知られる3人はどんな本を読むことで、世界を変えたのか。彼らを直接取材したジャーナリストの著者が、100冊の読みどころを丁寧に解説します。学生から大人まで、楽しみながら教養をアップデートできる、新たな視点のブックガイド。


構成/金澤英恵