尿漏れ対策はまず筋トレから!医療機関での治療も選択肢が豊富


尿漏れは加齢によって起こりやすくなりますが、予防も改善もできます。今からセルフトレーニングを習慣化しておけば、尿漏れのトラブルを遠ざけることができるのです。

尿漏れを予防するのも改善するのも、まずは骨盤底筋群のトレーニングから。骨盤底筋は、ただ日常生活をおくっているだけでは鍛えられない筋肉です。そのため、何もしなければ確実に衰えますが、トレーニングをすれば何歳からでも筋力をつけることは可能です。骨盤底筋群を鍛えておけば、尿意が来てもキュッと抑えることができます。毎日続けると、筋力アップとともに血流が良くなるので、閉経後に起こりがちなおしも周りの乾燥・かゆみ・性交痛など、いろんなトラブルを遠ざけることができます」

 

<どこでもできる!骨盤底筋トレーニング> 

 

ウンチを切るようなイメージで肛門をしめると腟も一緒に上に引きあがっていきます。素早くキュッキュッと動かす&ゆっくりギューっと5秒ぐらい引き上げる動きを各10回1セットとして1日3回程度行うのが効果的。寝転がって、立ったまま、椅子に座ってなど、どんな姿勢でも行えます。

「骨盤底筋トレーニングはどこでも簡単に行えるのですが、本当に骨盤底筋に効いているのか判断するのが難しい動きでもあります。理学療法士や看護師による骨盤底筋トレーニング指導を行っている病院もあるので、最初はそこで正しい動きを覚えてから行うのが確実です」


それでもなかなか尿漏れが解決しない時は、病院に行く目安はこちら。

<簡易チェックシート>□尿もれの頻度 (ややある・かなりある・常にある)
□尿もれの量 (パッドが必要・大きなパッドが必要)
□咳やくしゃみで尿が漏れる
□トイレの回数が多い (1日8回以上)
□急に強い尿意を感じることがある(ややある・かなりある・つねにある)


「上の項目にチェックがひとつでもあり、ご自身が不快だと感じていたら、一度病院へ足を運んでいただきたいです。気軽に行くのは難しいかもしれませんが、ウイメンズヘルスクリニックや、泌尿器科、産婦人科を検索して、ご自分に合いそうな医療機関を選んでみるといいと思います。

通院していただいた場合でも、生活習慣の見直しとお薬の使用で改善する患者さんがほとんどです。そのほかの治療法としては、内服加療や尿道や膣に刺激を与える高周波レーザー治療、神経と筋肉を刺激し切迫感を軽減する磁気治療、膀胱周辺へのボトックスや手術など選択肢は豊富にあります。

尿漏れは、卒業できるお悩みです。まずはひとりで抱えこまず、相談してくださいね」


尿漏れが治った患者さんたちは、「安心して旅行に行けるようになった」「ドライブに行っても大丈夫でした」と笑顔で卒業していくとのこと。尿漏れは生きがいに直結する悩みだということが、よくわかります。

尿漏れだけでなく、閉経を機に女性ホルモンの低下によってさまざまな身体の変化が訪れます。何が自分の身体に起こるのかを知り、早めに対策を打っておくことが更年期以降の人生の質を高めるカギ。それができるのは自分自身です。
 

 

平本有希子(ひらもとゆきこ)
女性ライフクリニック女性泌尿器科医。日本泌尿器科学会認定専門医。骨盤底への知識から、婦人科も診察できる泌尿器科医として、排尿障害や臓器脱など女性のトータルケアをサポート。2023年夏、清澄白河に女性向けの泌尿器科クリニックを開業予定。


取材・文/熊本美加
構成/宮島麻衣
イラスト/shutterstock

 

 

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