育てられる環境が整わなければ、不安が先立つのは当然

 

保育園や学童に落ちた場合、夫婦のどちらかが仕事を諦めるか制限しなければならず、実に深刻な問題です。待機児童問題の原因は様々あると思いますが、保育士や学童の職員の給与や働き方が改善されないことには、もっと問題意識を持つべきではないでしょうか。

ただでさえ「命を預かる」という大きな責任の伴う仕事ですが、配置基準と呼ばれる、保育士ひとりで見なければならない子どもの人数が見直されず、過酷な労働になっているといいます。保育士がいなければ「生活が回らなくなる」という子育て世帯は当然多く、とても重要な仕事のはずなのですが、給与が見合っていないのが現状です。

「保育所の収入は、国が定める公定価格を基準に決まる。保護者が支払う保育料も自治体ごとに定められている。そのため、国が公定価格を引き上げたり、自治体が独自の補助を設けたりしなければ、保育士の賃金も増えないのが実情だ」
――毎日新聞 時給50円アップは「無理よ」 人気の保育園支えるブラック環境

いくら子どもを増やす必要があるといっても、育つ環境が整わなければ安心して子どもを産めません(先日発表された異次元の少子化対策のたたき台として、「保育所などの職員配置基準について」も改善の案がでました。今後改善されていくとよいのですが)。

 

なくならない「マミー・トラック」

 

また、男女共同参画局の調査でもわかるように、家事・育児の負担が依然として女性に偏っているのも大きな問題です。少子化が進む前、子どもが増え続けていた時代は、女性が働かず、家事育児や介護などをすべて女性が担っていました。ある意味、女性の犠牲の上に出生率が保たれていたともいえます。

共働きが一般的になったにもかかわらず、相変わらず家事育児は女性のみに負担が集中している現状で、子どもを産み育てることに不安を感じるのは当たり前のことだと思います。

例えば、子どもが熱を出した時など、早退して看病するのは多くの場合女性です。さらに、どうしたって妊娠・出産は女性しかできませんが、妊娠・出産を機に退職したり、部署を異動させられたり、責任ある仕事を任せられなくなったりすることがあります。この問題は「マミー・トラック」と呼ばれ、出産を機にキャリアを諦めなければならない女性は多くいます。