何となく、でも確実に「夫婦別財布」となった経緯


彩乃さんがご主人と結婚されたのは7年ほど前、30歳の頃。お互いに趣味で通っていたワインスクールで出会い交際が始まり、数ヵ月でトントン拍子に結婚が決まりました。

「20代は年上の人とばかり付き合っていたので、同い年で仲良くなれる人は珍しいと思っていました。当時の私は生意気な性格をしていて、若い男の子たちからは敬遠されていたと思うし、私もつまらない、物足りないと思っていました。

でも夫は、同い年にしてはすごく落ち着いた性格をしていて、真面目で誠実なのに知識が豊富で、好奇心旺盛な面にも惹かれて好きになりました」

彩乃さんの仰ることはよく分かります。並外れた容姿に加え、彼女は有名国立大学出身の帰国子女。学生時代は街でスカウトされた芸能事務所に所属し、新卒では国内外の大手企業の内定をいくつも貰ったそう。ある程度成熟して余裕のある男性でなければ、そんな彼女の相手をするのは簡単ではないだろうと予想できます。 

 

社会人になる際、彩乃さんは優秀さゆえにどの企業からも強く勧誘されたそうですが、もともとの興味と採用担当者の熱意により広告代理店に入社。けれど数年後、芸能界の魅力と刺激を思い出すようになり、思い切って脱サラし、再び主に女優として芸能活動を始めました。

 

「幸い、昔から縁のあった事務所に良くしてもらい、当初は会社員時代と同じくらいの収入が入るほど仕事をもらうことができました。交際中だった夫も芸能の仕事を理解してくれ、順調に結婚しました。これまで付き合った男性は派手な人が多かったけど、彼は親の会社を継いでいるお坊ちゃまにも関わらず、すごく堅実で落ち着いた人。

以前のようにデートで星付きの店に行ったり、豪華なジュエリーを貰ったりすることはほとんどなくなりましたが、ラーメンを食べて楽しそうにしている同い年の彼に無理に何かを期待したり強請る気もありませんでした。お家がお金持ちでも、親の会社で会社員をしている彼のお給料自体はすごく高収入というわけでもないので。

だから結婚後、交際時と同じく生活費などもらうことなく、何となく、でも確実に夫婦別財布で暮らしていることに若干の違和感はありつつも『まあいいか』と思っていたんです」

結婚後、彩乃さん夫妻はご主人の一家が所有するマンションに住むことになりました。こちらも都心で100平米近くある豪華な部屋だったそう。持ち家なので家賃等はかからず、また光熱費や、夫婦で過ごす際の外食費やちょっとした出費は全てご主人が負担してくれていました。

一方で、彩乃さんは食材や消耗品などをご自身のお財布から負担。物価の高い土地柄ゆえ、一度のスーパーで1~2万円かかることもあるそうですが、彼女自身もそれなりの収入があったためさほど気になりませんでした。むしろ恵まれた新婚生活に心から感謝し楽しんでいたと言います。

しかしながら、この「夫婦別財布」が思いがけず彩乃さんの負担となり始めたのは、妊娠がきっかけでした。