年明けから韓流ドラマ『還魂』ロスのワタクシ。Netflixでひたすら『孤独のグルメ』のゆるさに癒やされる日々でした。が、ここに来て、3月31日から配信スタートした映画『キル・ボクスン』に『還魂』の主演俳優イ・ジェウクが出ていることを知り、ジェウク見たさに早速鑑賞。結果的にジェウクは一瞬しか登場しないカメオ出演だったのですが、そんなことが吹っ飛ぶくらいに面白い映画だったのです。

『キル・ボクスン』撮影中スチール。©︎No Ju-han/Netflix

その面白さで、配信1週間で世界82カ国で大ヒットし、Netflixのグローバルランキング1位を獲得。この映画の何がそんなにすごいのかを、今回は解説したいと思います。

 

タイトルの「キル・ボクスン」は、ヒロインである伝説の殺し屋の名前。シングルマザーのキルは、殺しの現場では冷徹にターゲットを処刑する凄腕だけど、私生活では思春期の娘に手を焼く平凡な母親。まずこの設定に、アニメ『スパイ・ファミリー』や映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』などに通ずる、最近の人気エンタメ作品の潮流を感じます。「バイオレンス×家族愛」は、ヒット作の新たな方程式なのですね。

『キル・ボクスン』撮影中スチール。©︎No Ju-han/Netflix

キルを演じるチョン・ドヨンは恋愛ドラマ『イルタ・スキャンダル〜恋は特訓コースで』でも成功を収めたばかり。そんな彼女を初めから当て込んで台本を書いたというピョン・ソンヒョン監督と、それを読まずにひとつ返事でオファーを受けたというチョン・ドヨン。お互いに信頼し合って映画を作り上げた結果がこの世界的大ヒットにつながっています。