怒りはなくすことができない自然な感情


怒りは人間にとって、なくすことができない自然な感情です。ですから、怒りの感情を否定する必要はありません。「怒り=よくないもの」だと思われがちですが、怒りを感じることや怒ること自体は、決して悪いことではないのです。

怒りを表現することで、本気度や真剣さが相手に伝わることもありますし、我慢して後悔することを防ぐこともできます。怒る必要のあるときは、怒りの気持ちを表に出しましょう。鬱屈した気持ちを抑え込んでいると、いつの間にか抱えきれずに、爆発してしまうことも……。怒りを抱え込んでいる自分のことが嫌いになったり、自己受容度が低くなったりしてしまう人もいるでしょう。

無理に抑えようとするのではなく、上手に怒るのがポイントです。自分がどう感じたのか、どうしてほしかったのかが、相手にわかるように伝えましょう。このとき大切にしたいのは、感情的になりすぎないこと。適切な表現ができれば、相手との関係が悪くなることもありません。怒りがわいてきたら、まずは「自然なこと」と受け入れてみてくださいね。

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怒りは防衛感情。怒りを感じる自分を大切にする


怒りは、防衛感情(身を守るための感情)でもあります。心と身体の安心や安全が脅かされそうになったとき、人は怒りで対応するという本能を持っているのをご存じですか? これが防衛感情です。たとえば、駅の階段を降りているとき、走って降りてきた人が勢いよくぶつかってきて、危うく転げ落ちそうになったとしたら、怒りを覚えてしまうのではないでしょうか。自尊心を傷つけられるような言動をされたとき、つい感情的になってしまったことはありませんか? このように、自分の心と身体の安全を保とうとするだけでなく、自分の大切なものや誰かを守るために、人は怒りで対応することもあるのです。

怒りを感じたら、「自分を大切にしているのだ」ととらえてみてください。自分がどんなことを大切に思っているのか、気づくきっかけにもなりそうですね。そんなふうに、日々、わいてきた怒りを優しく受けとめてみてはいかがでしょうか。