絶大なしゃれ見え効果がある一方で、「無難」「老けて見えそう」「重圧感が心配」という落とし穴もある「黒」。装いのアイテム数が少なくなるこれからの季節は、より顕著になるから注意が必要なんです。そんな「初夏に着る黒」がもっと素敵に、もっと楽しく、そしてもっと好きになるように、スタイリスト斉藤くみさんとファッションエディターの松井陽子さんが徹底分析します。

4回目は、黒という色の効能を最も感じられる、大人が着る「甘めアイテム」について紐解いていきます。

引き続きトレンドの「甘め」「華やか」服。黒で引き算すれば大人も気負わず着られる


松井さん(以下、敬称略):この春夏も「甘め」や「華やか」というキーワードは変わらないわね。

斉藤さん(以下、敬称略):そうなの、そうなの。むしろさらに加速している感じ。ツイードの人気もそうですし、ブラウスはボリューム袖に加え、もう1つデザインが加わっていたり、フレアスカートもさらに華やかになっているんです。

松井:シンプルな服に比べると、甘めな服ってパッと着るだけでハッピー感が纏えていいわよね。大人の女性が華やかなデザインのブラウスを着ているのを見るの、大好きなの。

斉藤:わかりますー! 大人こそ、もっと構えず取り入れて欲しいなって私も思います。着映えるし、難しくコーディネートしなくても、しゃれ見え効果があるし。でも確かに、最初の一歩がなかなかハードルが高いんですよね。自分のキャラクターには合わなそう、とか、イタくなりそう、とか。

松井:確かに、私もその一人。実はボリューム感のあるフレアスカートって持っていないかも。ひらっと広がるスカートってドラマチックで素敵だなとは思いつつも「えー、今日どしたの?」って言われそうな気がして(笑)。日常にスーッと溶け込ませる方法が分かれば、もっと構えなく取り入れられそうよね。

斉藤:そんなときも、やっぱり頼るべきは「黒」という色なんです。甘さや華やかさの加減を絶妙に引き算してくれるから。今回ピックアップしたのは、今年らしい甘めなブラウスと、ドラマティックなフレアワンピース。まずブラウスから見ていきましょう。

 

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”デザイン”も”素材”も甘いブラウス。黒を選んで、スポーティな小物合わせ、シャープな着こなしに
 

 
 

トップス¥88000、スカート¥121000/ドゥロワー(ドゥロワー 青山店) ピアス¥13200、リング(右手)各¥13200/アフェクト  ブレスレット¥55000/ブランイリス(ブランイリス トーキョー) シューズ¥26400/ビルケンシュトック(ビルケンシュトック・ジャパン カスタマーサービス) バッグ/松井さん私物

松井:肩から袖に繋がる繊細なピンタックも美しいし、フレア袖も優雅で素敵ね~!

斉藤:ジャカード素材の表情と立体的なフォルムで、本当に絵になるんです。たしかにひとつひとつのディテールを取り上げれば「甘め」ですが、このブラウスの第一印象が「甘い」にならないでしょう? 黒を味方にするとキリッと見えるので、素材やフォルムの「美しい」が際立つんですよね。ポイントは、素材のハリ感。直線が強調されるから、わりとボリュームがあるのに意外にもシャープな感じになるの。

松井:本当にそうだわ。確かに同じデザインでも、色が白だったら、私はちょっと気恥ずかしいかったかも。このスカートも素敵ね! 配色も爽やかで、ジャカード生地も見事な美しさ。惚れ惚れしちゃう。甘めブラウスにこういうスカートを合わせるって、新鮮!

斉藤:いわゆる「甘め服」にはデニムとか、もっとシンプルなボトムスを合わせたくなりません? でも、このくらい色や織柄があるものでもいいと思うんです。このスカートもブラウスと同じで、Iラインの直線的なシルエットが加わることでシャープさが生まれるんです。生地も厚いから体の線も拾いません。甘いブラウスには、つい無地でシンプルなボトムを考えちゃうけれど、それだと意外と無難にまとまっちゃう。特に夏は明るめな色で明るく魅せるのもありだと思いますよ。

松井:なるほどね。黒を選ぶことも甘さを引き算するポイントだけど、シルエットも重要なのね! あと足元がスポサン、バッグも大きなラフィアのバッグにしたのもいいなと思った。服によそ行き感のあるから、小物もきちんとしてって思いがちだけど、カジュアルな合わせにすることで、リアルな華やぎになるよね。もちろん”よそ行き”として着る日は、靴とバッグを変えれば良さそう。

斉藤:そうそう、小物合わせはお出かけ先に合わせて。場に合うかどうかはやっぱり靴やバッグ次第ですからね。

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定番の「黒サンダル」「黒ワンピース」「黒パンツ」。重苦しくない、初夏にちょうどいい着こなしのコツを解説!
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