季節の移ろいがわかる「年中行事」の意味を知る


ついこの前まで厚手のコートを着込んで震えていたのに、いつの間にか薄手の上着一枚で外出していたりと、毎日を忙しく過ごしていると季節の移ろいを見過ごしてしまいがち。そんな状態でもなんとか四季を感じることができるのは、お正月やお盆、節分といった年中行事があるおかげかもしれません。

その年中行事ですが、意味を深く考えずに行っているという方も多いと思います。なぜお正月に鏡餅やしめ飾りを飾るのか、なぜ節分では鬼を追い払うために豆を使うのか……それが分かれば楽しさも倍増するでしょう。惰性や義務感だけでやっていてはつまらないですよね。

そこで今回は、『季節の行事と日本のしきたり事典ミニ』という書籍から、5月の代表的な行事である「端午の節句」と「母の日」について、その由来や意味について書かれた部分を抜粋したいと思います。まずは、そもそもとなる「年中行事」や「節句」の解説から入りますので、こちらもご一読ください!

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年中行事は「感謝するため」にある


日本の年中行事のすべては季節と密接にかかわり、そのほとんどが、「感謝するため」にあります。たとえばお正月は、旧年の豊作と平穏に感謝し、新年の豊穣と平和を願う節目です。

 

この期間には、新しい年の稔りをもたらし、人々にフレッシュな生命力を与えてくれる「年神様」が訪れると考えられていました。一連の正月行事は、この年神様を迎えてひとつ年を取るためにあり、鏡餅や門松、しめ縄も、年神様を迎えるために飾るものなのです。

私たちの先祖の多くは、自然に、あらゆるものに宿る神様に、そして家族が健康でいられることに、感謝しながら生きていたのです。そんな先祖の人たちの思いを知ることで、日本の行事とそれを継続してきた日本の歴史と民俗を、もっと好きになるかもしれません。知るということはやはり大切ですね。