高齢者向け「見守り家電」とは?


見守り家電とは、離れて暮らす親が家電を使うとセンサーが反応し、それによって子が使用状況を確認できるというもの。「家電を使っている=生存している」という判断ができるというわけです。過去のデータと比較することで、たとえば冷蔵庫であればきちんと食事をとっているかの判断基準にもなり、おおよその生活リズムくらいはわかるようになります。

見守り家電と呼ばれるものには、冷蔵庫から空気清浄機、エアコン、給湯器まで、さまざまな種類があります。そのため、親が毎日使う製品を何か1つ見守り家電に設定するだけで、簡単に見守りが叶うのです。

 


①冷蔵庫編


ここからは、具体的に各社のサービスを見ていきます。まずは冷蔵庫編。

■日立「コネクテッド家電 ご家族見守りサービス」
日立では、ネット接続ができるコネクテッド家電を使った「ご家族見守りサービス」を2020年から開始。対象機種をお持ちの方には、専用のスマートフォンアプリを通じて冷蔵庫のドアの開閉状況が通知され、離れた場所から家族の暮らしを見守れます。なお、冷蔵庫だけでなく、エコ給湯器「エコキュート」にも、給湯使用状況によって暮らしを見守る「みまもり機能」が搭載されています。

■シャープ「COCORO HOME」
シャープにも、同じように冷蔵庫のドアの開閉情報を通知する見守り機能が搭載されています。それ以外にも、各種センサーが検出した情報を知らせてくれる空気清浄機、毎日指定時刻に呼出音が鳴る電話機の「見守り機能」なども。

■三菱電機「MeAMOR」
三菱電機では、2023年2月より家電製品の使用状況や室内温度などを通じて、一人暮らしの高齢の親の状況を把握する見守りサービス「MeAMOR(ミアモール)」を始めました。MeAMOR対応製品であれば、カメラなどの専用の機器や設備が不要で、月額1080円で利用可能。冷蔵庫だけでなく、エアコンと給湯器にも対応しています。

これらのサービスは、家電を使うだけで親が特別な操作をする必要がないのは魅力ですが、各社とも対象機種が限定されていること、対象の製品も高価で利用料もかかります。

一方、ネコリコという会社が出している「まもりこ」は、わざわざ製品を買い替える必要がなく、今ある冷蔵庫に端末を設置するだけでできる見守りサービスです。アンケートによると、9割以上の利用者が冷蔵庫に設置しているようですが、トイレのドアなど1日1回開閉する場所への設置も可能と融通の利くサービスです。端末の購入には13200円かかるものの、月額費用は550円と比較的リーズナブル。自治体の補助もあるので、気軽に始められるのではないでしょうか。

②ポット編


■象印「みまもりほっとライン」
象印では、通信機能を備えた電気ポットを使用することで、離れて暮らす親の生活を見守る安否確認サービスを20年以上続けてきました。初期費用は5500円、1ヶ月の利用料は3300円で、ポットの使用履歴が日々メールで届きます。ポットを設置するだけですぐに利用できるので、親への負担はありません。ただし、ガスでお湯を沸かしたりケトルを使いがちな方などは、使用頻度によって検討した方が良さそうです。

③部屋の照明編


■ヤマト運輸「ハローライト」
トイレや廊下など、毎日使用する電球を「ハローライト電球」に交換するだけという、ヤマト運輸が提供している見守りサービス。24時間(前日朝9:00~当日朝8:59)の間に電球のON/OFFが確認できない場合は異常とみなし、通知が届きます。

さらに通知先(子どもなど)からの依頼があれば、ヤマト運輸のスタッフが代わりに自宅を訪問。月額利用料は1078円で、初期費用や電球代はかかりません。Wi-Fiも工事も不要なのは魅力です。ただし、電球のON/OFFで異常を検知する仕組みなので、時間感覚のない認知症の方などは、点灯/消灯を繰り返す恐れもあって向いていないかもしれません。
 
見守り家電の導入に関しては、親は普段通りの生活をしていればいいだけなので、ほとんど負担はありません。その一方で、アプリの利用はほぼ必須。さらに月額利用料がかかるので、使用頻度も考慮して選ぶ必要がありそうです。

他にもまだある高齢者向けの便利グッズ


これまで紹介してきた見守り家電とは少し毛色が異なりますが、最後に高齢者が持っていると便利なグッズも紹介しておきます。今回は、親世帯だけでなく、子世帯にも便利なグッズを選んでみました。

①点検チェッカー
「鍵閉めた? ガス止めた?」と不安になって、一度家を出たのに後戻りすることもしばしば……。そんな心配性な方におススメのグッズです。

②携帯コインホルダー
高齢になると、買い物をする際に小銭を正確に取り出すのに時間がかかり、申し訳なさからお札ばかり使うことも。そんな状況を打破してくれるのが、こちらの携帯コインホルダーです。子世代も、ごちゃごちゃと小銭が入った財布がストレスになるという方は、これですっきりさせるのも良さそうですね。

③救急QR
万が一に備え、自分の医療情報や緊急連絡先を登録できるQRコードのキーホルダー。高齢者の徘徊は心配の種ですが、この緊急用キーホルダーを身に付けておけば位置情報をメールで自動送信してくれるので安心! 子どもの安全にも役立ちます。

家電や便利グッズは日々進化していて、中にはこんなものも!?という商品も数多く発売されています。今後も次から次へと新サービスが出てくるであろう分野なので、定期的に情報収集して、家事と同じように「頼れるところは家電に任せる」の精神で活用してみてはいかがでしょうか。


構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子

 

 

 

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