細部まで作り込まれた現場の雰囲気で、自然と「絶対に復讐してやる!」という感情に


——Netflixシリーズ『御手洗家、炎上する』は、藤沢もやしさんが手掛けた同名の人気漫画を映像化した作品。代々病院を経営する御手洗家が全焼してしまった事件を巡るサスペンスですが、最初に原作を読んだ感想を教えてください。

永野芽郁さん(以下、永野):面白かったです! 柔軟なお芝居をするために、普段は原作漫画を読みすぎないようにしているのですが、ちょっと今回は無理でしたね(笑)。1巻から衝撃的に面白くて、ページをめくる手が止まらなくて一気に読みました。復讐劇ならではのハラハラする展開に引き込まれますし、登場人物の心理描写もリアルですし、悪者に見える人が抱えている事情にも考えさせられる部分もあって……。本当にいろんな角度で楽しめる作品だと思いました。

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——永野さんが演じた主人公の村田杏子は、全焼事件の真相を探るため、家事代行業者として御手洗家に潜入します。彼女が抱く復讐心を表現するために、どんな準備をしましたか?

永野:他の作品も含めて、私はお芝居を作り込むことが得意ではないので、撮影現場に入って、その場で生まれた感情を大事にしています。もちろん事前に台本は読み込んでおくのですが、スタジオのセットや照明によってインスピレーションが変わってくるので、それを素直に表現したほうが自然なお芝居になると思っています。今回も御手洗家の豪邸が細部まで丁寧に作り込まれていたので、現場に入った瞬間に杏子の気持ちが乗り移った感覚で。「絶対に復讐してやる!」という強い気持ちを絶やさずに過ごすことができました。

 

――杏子が復讐のターゲットにしている御手洗真希子は鈴木京香さんが演じています。杏子と真希子が一緒のシーンは常に手に汗握るような緊迫感が漂っていますが、撮影現場で鈴木京香さんと対峙した感想は?

永野:カメラの前で真希子になった鈴木京香さんは、すごく怖くて(笑)。何も考えられなくなるような緊張感を味わいましたね。京香さんが撮影現場に入るとすごく華やかにもなるし、自然と引き締まった空気になりました。お芝居だけじゃなくて本番前の立ち振る舞いも含めて、たくさんの刺激をいただきました。

——真希子は全焼事件の後に御手洗家の後妻となった女性で、自他ともに認める強欲な性格です。永野さんの目には、真希子はどんな人物に映りましたか?

永野:憎たらしさや恐ろしさがあったのですが、母親ならでの強さを感じましたし、他の登場人物も含めて完全な悪者はいないような気もして……。それぞれが他者への愛情や強さを持っているので、杏子として復讐の気持ちを燃やしながらも複雑な気持ちになってしまうシーンもありました。だから見てくださった方々の感想がすごく気になります。

——これまでは妹や後輩などの愛されキャラを演じることが多かった永野さんが、今作ではしっかり者の姉を演じていることも新鮮でした。

永野:姉の役柄はあまり多くはなかったのですが、妹の村田柚子を演じた恒松祐里ちゃんのおかげで気負わずに演じることができました。実年齢は私のほうが下なのですが、祐里ちゃんは普段からすごく可愛らしい女性なので、一緒にいると守ってあげたい気持ちになるんですよ。彼女の笑顔を見ていると私も元気になれましたし、おかげで柚子と杏子の仲の良さや信頼関係を再現できたような気がします。祐里ちゃんと初めて共演したのは私が10代半ばの頃だったのですが、大人になって一緒にお芝居することができて嬉しかったですね。