年々代謝が衰える40代以降は、どうしても太りやすくなるもの。とはいえ、「食べないダイエット」はさらに代謝を落としてやせにくい体になるだけでなく、げっそりと老けた印象を招きます。
「効率よく栄養をとることが健康的にやせるいちばんの秘訣。代謝がスムーズに行われて、生理機能もきちんと働きます」と管理栄養士の関口絢子さん。そのために積極的にとりたいのが発酵食品です。
「発酵食品は微生物によって分解された食品。分解されることで消化吸収がよくなり、また新たな栄養素が生み出されます。微生物の種類によっては腸内の善玉菌に働きかけて、排出力を高める効果も。一日の推奨量はありませんが、何かしらを毎日とりたいですね」
この連載では8回に渡って、ダイエットのために取り入れたい発酵食品とおすすめの食べ方をご紹介。第1回目は「酒粕」です。


たんぱく質、オリゴ糖、美肌成分…うれしい栄養がたっぷり!

 

酒粕は、日本酒を作る過程で米と麹を発酵させ、さらに酵母をプラスして発酵させた「もろみ」を絞った副産物。米の糖質はアルコールになって絞ってしまうので、酒粕の糖質は少なくなります。その分、たんぱく質が多く含まれるそう。
「レジスタントプロテインという難消化性のたんぱく質が酒粕には含まれています。これは体の一部になるたんぱく質とは異なり、食物繊維のような働きをするのが特徴。もともと米に含まれる食物繊維にプラスされて、この難消化性のたんぱく質ができることで、より腸内環境の改善につながります」と関口さん。
さらに発酵によってさまざまな副産物が作られるそう。
「腸内環境を整えるオリゴ糖、糖や脂質の代謝を促すビタミンB群も含まれるので、まさにダイエット向きの食材です」

 

そして酒蔵の職人の手が美しいように、美肌効果も絶大です。
「メラニンの生成を抑えてシミ、ソバカスを予防するコウジ酸、コラーゲンの生成を促すα-EGなど米醗酵エキスが含まれています」

酒粕にはいくつか種類があります。板状の「板粕」、フレーク状の「バラ粕」、ペースト状の「ねり粕」、さらに熟成されて色が濃くなった「熟成酒粕」……見た目は異なりますが、栄養面での違いはないそうです。

酒粕のおすすめレシピ①「甘酒」

 

「煮溶かして砂糖を加えるだけの、お手軽レシピ。飲む点滴ともいわれているので、夏バテ防止に冷やしていただくのもいいですね」

 材料 
・水 200㎖
・酒粕 30g
・砂糖 大さじ1

 作り方 
1.酒粕を一口大にちぎります(ねり粕の場合はそのままでOK)

2.鍋で水を沸騰させたら、1を入れて弱火にし、酒粕がやわらかくなって全体がなじむまで混ぜ合わせます。

3.溶けたら砂糖を加えてなじませます。


酒粕のおすすめレシピ②「ちょい足し」

 

「いつものお味噌汁にちぎって加えて粕汁に。または肉や魚を酒粕につけ込むのもおすすめ。柔らかくなって旨味が増し、さらに保存性も高まります」

ダイエットに必要な栄養素が豊富なだけでなく、美容や健康にも多くの効果をもたらしてくれる酒粕。スーパーで簡単に手に入るので、ぜひ日常的に取り入れてみてください。

関口絢子さん料理研究家・管理栄養士・インナービューティスペシャリスト。
“食を通じて世の中を元気に健康にしたい”をモットーに、すぐに実践したくなるお役立ち情報を発信。エビデンスに裏付けされた、美と健康に関するお悩み解消レシピに定評があり、なかでも登録者数43万人越えのYouTube「管理栄養士 関口絢子のウェルネスキッチン」が人気。


写真/Shutterstock
構成・文/村田由美子