「なにげなく」の意味は、「特別な意図もない」

 

では、「なにげに」という表現はあまり使わないほうがいいのでしょうか? また、間違っている表現なのでしょうか? もともと使われていた「なにげなく」の意味から見ていきます。

【なにげない(何気無い)】
これといった特別な意図もない。特に注意せず、関心を示さない。
例:「なにげなく空を仰ぐ」「なにげない風(ふう)をよそおう」

(広辞苑 第七版/岩波書店 より引用)

【なにげない(何気無い)】
①相手に隠していることなどが気づかれないように振る舞う様子だ。例:「生活は苦しかったらしいが、なにげないさまを装っていた」
②これといった意図はなく、なかば無意識に何かをする様子だ。例:「なにげない言葉が相手の心を傷つけた/なにげなく的の外に目をやる」

(新明解国語辞典 第八版/三省堂 より引用)

 

では、「なにげなく」を「なにげに」と言うのは間違いなの?

 

 

 

「なにげに」は、若者言葉のひとつだと言われており、以前は辞書にも掲載されていなかったようですが、最近では一部の辞書にこのような説明も追加されています。

「何気無しに」というところを、1980年代から誤って使われ始めた形。
①なにげなく。それとなく。
②大したことがないようで実は。意外と。

(広辞苑 第七版/岩波書店 より引用)

「なにげなく」の誤用から「なにげに」という形で副詞的な俗用が若者中心に見られ、「意外に」などの意味でも用いられる。
(新明解国語辞典 第八版/三省堂 より引用)

「なにげに」は元々誤用と言われていた表現ですが、使う人が増えたことで、受け入れられてきた言葉です。今では「なにげなく」にはなかった「意外に」という新しい意味まで生まれ、「テストの結果がなにげによかった」などと使う場合もあるようです。
 

構成・文/高橋香奈子

 

 

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