女性の声も聞いてくださる社会になっているような気がします


——新曲『勇者の旗』の歌詞を体現するように、キャリアの分岐点で自分自身の本音を優先して生きてきた工藤さん。トップアーティストでありながら結婚と出産を経験して、母親としても輝いていることが多くの女性からリスペクトされる要因のひとつだと思います。昨今はキャリアが停滞するリスクを考えて結婚に踏み出せない女性も多いようですが、工藤さんは怖くなかったのでしょうか?

工藤静香さん(以下、工藤):それぞれの職種によって状況は違うと思いますが、分岐点に立ったときに、私の場合は「今、自分は何を望んでいるのか?」を冷静に考えてきました。失敗の可能性を考えると前に進めなくなってしまいますし、自分の素直な気持ちと向き合って恐れずに突き進む。そして、どんな結果になっても自分が決断したことに後悔しない。その自分なりのルールを公私で大切にしてきました。なんて、かっこつけて言ったけど、実際は難しいですけどね……。人生って後悔したくなるような瞬間がたくさんあるからこそ、それをしないように自分に言い聞かせているんだと思います。

 

——今はネットに情報が溢れていて、どうしても先々の不安要素が目に入ってしまうので、愛する人がいても結婚に踏み出せない人も多いのかなと。

工藤:男女問わず、なんらかの戸惑いがあったら難しそうですね。例えば「この人を幸せにできないかもしれない……」という考えが頭をよぎった時点で、まだ結婚は早いような気がしませんか? そんな状態でプロポーズは難しいですよね(笑)。ちゃんと覚悟ができていれば、「もっと頑張るから、一緒にいてほしい」となるかもしれませんね。

 

——工藤さんは出産後、仕事と子育ての両立に悩むことはなかったですか?

工藤:当時日本で落ち着いて子どもを育てることはなかなか難しかったですね(笑)。両立……、「仕事と育児のバランスを考えて、両方を上手くやろう」という思考にはならなかったです。実際、子育てに追われている間は、仕事はかなりセーブをしていました。

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