ひとつの工夫でトイレ成功!同時に介護のイライラも解消


認知症の症状が進みおじいちゃんがトイレを汚してしまうことが増えました。ズボンをちゃんと下げず、途中で用をたしてしまうのです。おしっこやウンチが服に付き、トイレの床がビシャビシャに汚れる日々。この時期は、僕も追い詰められて本当に辛かったです。

「トイレをするときにはちゃんとズボンを下げてね」と何度口頭で伝えてもいつも「はいはい」と返事をするだけで右から左に流されてしまう状態。おじいちゃんの行動は一向に改善されません。ちっとも真剣に受け止めてくれないのです。

そこで僕はおばさんと相談し「貼り紙作戦」を実行することにしました。

この作戦の一番のポイントは文章にちょっとした違和感を持たせること。普通に「ズボンを下げてね」と書いても印象に残らないため、僕の名前「秀介」を逆にして、「介秀」とし、「ズボンを下げないと介秀が困る」として、トイレの前の扉に紙を貼り付けたのです。すると「漢字間違っているぞ!」という反応があると同時に、ズボンを下げなくてはという点にも意識がいくようになりました。作戦成功です。

その後は、「ひとりで外には出ないでね。新聞は秀介がとります」と要望+僕の名前を書いた貼り紙をすることで、こちらの要望をちゃんと受け取ってくれるようになりました。

 

今思い返すと、それまでの僕はおじいちゃんに言うことを聞かせようと一方的に忠告していたのだと思います。どうすれば、おじいちゃんが理解しやすくなるのかという点を考えていませんでした。それが、たった1枚の紙で解決したのです。

 

伝え方を工夫しただけで、おじいちゃんの行動が改善されただけでなく、僕のイライラも解消されていきました。

この「貼り紙作戦」は、僕の考え方を変えることになった大きな出来事でした。