不安を因数分解して整理、人生をシンプルに


「結局、彼が買ったマンションは投資としては話にならず。リフォームや修繕費、税金を考えると次第に赤字になることも予想できました。そこで損切りしたほうがいいと思い、私が主導して売却。ローンの残りを返すと、貯金は半分くらいに目減りしてしまいました。

それでも、まあとにかくリセット! 私は気持ちがすっきりしました。不安要素や不確定要素を因数分解して、できるだけ片付ける。そして人生をシンプルに。それが海外生活やゆるふわ夫との結婚を経て心がけるようになったことです」

 

それからお2人は、東京都や区が主催する起業セミナーや、丸の内のTOKYO創業ステーションに通い、正攻法で起業の勉強を重ねます。

自分に足りないものを自覚したとき、それをコンプレックスのように感じると、インターネットの噂やうまい話、他人の意見に左右されてしまうことは誰にでもあり得ること。しかし明莉さんと智明さんは、ここで軌道修正し、公的な機関やセミナーを頼って地道に知識を身につけていきます。

 

「そしてようやく念願のゴルフスクールをオープンしました。都心からかなり離れたところですが、車で送迎したり、英語でレッスンをしたり、付加価値づくりに励んでいます。予定よりも時間はかかってしまいましたが、目標があったのでその間にコツコツ2人で貯金ができました。まだギリギリの経営ですが……二人とも必死すぎて、浮気も不倫も使い込みも吹っ飛んだというのが正直なところです。

夫婦って、お互いの足りないところや欠点を指摘しあって摩耗してしまうこともありますよね。私も夫も言いたいことを言って喧嘩になる20代でした。でも、いろんなことがあって今ようやく、同じ目標を共有して、エネルギーの方向をコントロールできているような気がします。そうすると、1人で生きているよりもチームとして多くを達成できるんだなと気づきました。ちょっと大人になりました、彼も私も(笑)」

最後に少々、意地悪な質問を。お話を伺って、確かにお2人の協力体制は素晴らしく機能していますが、これまではトラブルの多くを明莉さんの力で乗り切ってきた印象があります。パワーアップしている今の明莉さんが、ほかの方と生きていくという選択肢はまったく思い浮かびませんか?

「なんでしょうね……手のかかる夫なんで、大変なんですけれど。やっぱり彼はソウルメイトなんです。他には考えられない。とくに子育てにおいてはおおらかなところに救われている部分もありますし。それから、夫婦って、意外に小さいことでつながってるのかなって思うんです。

例えば智明は、1日4、5回電話をかけてくるんです。それが全部、どうでもいいようなことで。メッセージにしてよ! ってずっと言ってるんですけど、お構いなしにしょっちゅうかけてきます。買い物ある? とかどっちがいいと思う? とか。多分、なんだかんだ私の声が聞きたいんだと思います。きっと彼、好きなんですよ、私が(笑)」

そう言っていたずらっぽく笑う明莉さんは、とってもチャーミングで、なんだか結婚っていいものかもしれないと単純に思わせてくれました。肩の力が抜けるとはこういうことでしょうか。

夫婦関係とは一筋縄ではいかないものですが、誰がなんと言おうと、選択を正解にすると決めて人生を歩むという手法があるのだと感じました。

ソウルメイトと「思い定めて」ふたりで未来を構築している智明さんと明莉さんの、公私ますますのご活躍をお祈りします。
 

写真/Shutterstock
取材・文/佐野倫子
構成/山本理沙
 

 

 

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