運動は苦手じゃないのに「運動会」を楽しめない人がいる

 

うだるような暑さが徐々に和らぎ、いよいよ運動会シーズンが到来。皆さんは「運動会」と聞くと、どのような気持ちになりますか? 

もちろん、大人になると楽しかったこともつらかったこともひっくるめて「良い思い出」に変換できるでしょう。でも、学生時代の自分の目線に立ってみて、もろ手を挙げて「楽しかった」と言える人がどれくらいいるかは疑問ですよね。

 

運動が苦手で徒競走を憂鬱に感じたり、親族が応援に来ることができずに寂しい思いをしたり……人によって異なるとは思いますが、どこかしらマイナスを感じてしまうポイントがあったのではないでしょうか。

ただ、ある「感覚特性」を持った人にしてみると、一般的には想像できないようなところで運動会を楽しめていないようです。

「スピーカーから割れるような音で流れる音楽やアナウンス。大勢の人のざわめき、話し声、声援。全身にまとわりつく砂ボコリ。さえぎるもののない太陽光。体育倉庫から出した備品のニオイ。(中略)逃げ場も、気を紛らわせるものもない。本当は、お気に入りのパーカーのフードをかぶってノイズキャンセリングイヤホンをして情報を遮断し、気持ちが落ち着く音楽でも聴いてやり過ごしたいくらいだ。すべてが終わるまで、あと3時間。我慢だ」

「気持ちの上では、すぐに飛び出そうと思っている。でも、『パンッ!』という音を耳で聞いて、脳が全身に『走れ!』と命令を出すまでの時間。それが、私は人よりちょっと時間がかかっている気がする。聴覚と筋肉がダイレクトにつながっていないというか……。(中略)運動が苦手って印象をみんなに持たれているかもしれない。それがちょっと悲しい」

これらは「感覚過敏」や「感覚鈍麻(どんま)」といった感覚特性を持つ人の実態を紹介する『カビンくんとドンマちゃん』という本から抜粋した一節。本書では、五感が人一倍鋭い「感覚過敏」の少年・カビンくんと、感覚が極端に鈍い「感覚鈍麻」を持つ少女・ドンマちゃんという二人の中学生キャラを通して、当事者の心境を伝えています。

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