変わらないこと、維持することには興味がないんです


——10月13日に写真集『ささやき』が発売されますが、大きな武器である“声”を使わない仕事は津田さんにとって特殊なのでは?

津田:そうですね。制作のオファーをいただいたときは、シンプルにびっくりしました。「このタイミングで、僕は写真集ですか?」って。とはいえ、確かに僕の中でポートレート撮影は特殊なお仕事ではあるものの、今回はゆったりした日常を切り取るようなコンセプトがあったのでリラックスして挑むことができました。もともと年齢的にも肩の力が抜けてきた頃ですし、144ページもあるのですが、本当に自然体の自分を写していただけたと思います。

 

——ファースト写真集を出された2014年の頃から体型が変わっていないだけでなく、色気が増していることに驚かされます。津田さんの代名詞である“イケボ”を保つためには、ビジュアルの管理にも意識を高める必要があるのでしょうか?

津田:色気……自分では分からないですし、昔と比べたら変わっている部分もあると思うんですけど(笑)。そもそも僕は何かを維持することに、ほぼほぼ興味がないんです。変化しないということが、あまり好きではなくて。声に関しても、いろんな考え方があって、同じ声を何十年もキープすることを良しとする声優さんもいれば、僕みたいに変化することが当たり前だという考えの持ち主もいるので。僕としては、声にしても、お芝居にしても、容姿にしても、月日を経てブラッシュアップしていかないと面白くないと感じてしまうんです。

 

——同じ役柄を久しぶりに演じることになっても、昔の自分に寄せていくことは好きではないということでしょうか?

津田:そこは難しい問題ですね。お客様の中には、昔と変わらない声を聞きたい方もいれば、変化を面白いと感じてもらえる方もいるので。たくさんの人に楽しんでいただける塩梅を探りますが、やはり昔の自分をチェックするとお芝居の質が残念に感じてしまうことがあるので、そこに寄せて意図的にヘタクソに演じることはしたくないと思っています。仕事以外に関しても、僕は膠着していくことが怖いんですよね。僕の個人的な考えですが、膠着して、ストップするということが、退化の始まりだと思ってしまうので。立ち止まってはいけないとは常々思っています。

——年齢を重ねるとどうしても腰が重くなって新しい挑戦ができなくなってしまう人も多いと思います。また、過去の成功体験に固執して変化を拒んでしまう人もいますよね。

津田:確かに腰は重くなるし、体力は劣るし、今までのやり方を続けたほうが安全だとは思います。でも、そもそも僕は安心や安定を求める思考だったら、この仕事を選んでいないと思うんです(笑)。だから、今でも未知の分野のお仕事をもらったらワクワクしますし、「これまでやったことがない」という理由で挑戦を避けるタイプではないです。そもそも、同じような日々の中でも、本当は小さな変化があるし、それを敏感にキャッチしていくことが大事なのかなと思います。昨日の自分と今日の自分は五感のセンサーが変わっているはずだし、明日も新しい自分に出会えるかもしれない。人生100年ですから、小さな変化を前向きに受け止める生き方をしたほうが楽しいと思うんです。
 

 
 

<INFORMATION>
津田健次郎写真集『ささやき』
2023年10月13日発売 ¥3520

 

声優・俳優として活躍する津田健次郎の最新写真集。多忙な日々の合間に訪れた海辺で、京都の街で、そしてベッドルームで。オトナのゆとりを感じさせる空間で見せる、さまざまな表情をキャッチした1冊。やわらかなまなざしや、無邪気な笑顔、色香が漂う姿など、うっとりと心が潤うカットはもちろん、表現者としての顔も感じられる贅沢さは必見。全144ページ、オール撮りおろし。

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撮影/吉田崇
ヘアメイク/ハラタタケヒコ
スタイリスト/井田信之
取材・文/浅原聡
構成/坂口彩