独特の感性で独自の笑いを貫くインパルス板倉俊之さん。8月に、自身初のエッセイとなる『屋上とライフル』(飛鳥新社)を出版しました。今回は、日常での様々な事象に疑問を抱き、モヤモヤするという板倉さんに、「最近モヤモヤしたこと」についてお話を伺いました。

 

板倉俊之
埼玉県志木市出身。NSC東京校4期生。一人コントでは独特の世界観を展開。趣味のゲーム実況やハイエース一人旅の動画も人気を集める。2009年、『トリガー』で小説家デビュー。以降数々の著作を生み出し、作家としても活躍。著書に『蟻地獄』『月の炎』『鬼の御伽』、『機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ』、漫画原作『マグナレイブン』など。また、2021年、『蟻地獄』の舞台化で、初の脚本・演出を務める。YouTube:板倉趣味チャンネル板倉作品館

 


世の中の「ネーミング」がいちいち気になる!


──新作『屋上とライフル』(飛鳥新社)は板倉さん初のエッセイ集ですが、ここでも板倉ワールド全開ですね。板倉さんのネタ独特の、世間の人がスルーするところに引っかかって掘り下げていくというのが本の中にもたくさんありました。

・「目尻」という表現はひどすぎやしないか

・「イチゴ狩り」という表現はひどすぎやしないか

・「グレープフルーツ」というネーミングはひどすぎやしないか

など、ネーミングへのツッコミが炸裂していますよね。他にも、これおかしくない? って思うことってありますか?

板倉俊之さん(以下、板倉):「いただきます」ですね。

──いただきます?

板倉:食べるときに「いただきますしろ」ってめっちゃ言われるじゃないですか。感謝しなさいって言うのであれば、例えば机だって、運ぶためのトラックがあって、作った人がいるわけです。椅子もそうだし、座布団もそうだし、作った人がいて、運んだ人がいる。全部に「ありがとうございます」って言わなきゃいけなくなっちゃうなと思ってましたね。子どもの頃からずっと、「いただきます」を言うなら「座らせていただきます」「テーブルに置かせていただきました」って言うべきだろ、なんで食べ物だけなんだって。でも先日、魚を釣って、焼いて食べたんですよ。そのときは心から「いただきます」が出たんです。